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大統領選前哨戦色濃厚に=与野党が盛んに批判応酬=最大限にPAC使うPT

ニッケイ新聞 2010年1月23日付け

 10月3日に行われる大統領選を前に与野党間の激しいやり取りが展開され、21日閣議では、ルーラ大統領の口から野党党首を〃ババッカ(無知、バカ)〃と批判する発言まで飛び出したと22日付伯字紙が報じた。
 選挙戦などではもっぱら相手の足を引っ張り合うブラジルだが、今回の大統領発言では、民主社会党(PSDB)ゲーラ党首は「現実離れし」た「バカな発言ばかり」で「ブラジルを理解していない」と辛らつに批判。
 この批判は、19日に行われたミナス州でのジウマ官房長官の発言に対し、ゲーラ氏が、ジウマ氏は政治家として経験不足の上、嘘つきだと批判した事への応酬だ。
 ジウマ氏は19日、Veja誌掲載の「経済活性化計画(PAC)は虚構」などとするゲーラ氏の発言を取り上げ、現実に工事完成を祝っているPACが虚構であるはずはなく、PACを葬り去ろうとしている野党に政権を渡せば国の発展は妨げられると強調した。
 これに対し、ゲーラ氏が、ジウマ氏の履歴書に虚偽の記述があった事やドシエと呼ばれる機密文書偽造疑惑なども取り上げ、「嘘は彼女の常套手段」で「自分の責任も他人に擦り付ける」などと応酬。その後の労働者党(PT)とPSDB間では、互いを批判しあう文書が飛び交っている。
 一方、大統領と官房長官が830キロ以上旅をした19日、ミナス州では、セツーバル川のダムとアラスアイーの専門学校開設、ジュイズ・デ・フォーラでの世界初の天然ガスとバイオ燃料併用型発電所開所式があり、官房長官は、PAC工事の一つの、同州~バイア州間の国道367号線舗装宣言など、州民へのアピールも忘れない。
 同州のPAC事業は数多いため、事業完成祝賀などで、選挙戦開始前のジウマ氏も足繁く同州を訪問するとの19日の大統領発言や、閣議でも官房長官辞任前にPAC2計画発表を確認など、〃PACの母〃を全面に出す選挙前哨戦色は益々濃厚になっている。
 イベントには欠席のPSDBアエシオ知事も選挙キャンペーンだったと評した同州での大統領らの言行を、選挙戦前倒しの違法行為だと見るPSDBなど野党3党は、21日、選挙裁判所に7件目となる提訴を行った。