ニッケイ新聞 2010年1月23日付け
1999年に静岡県浜松市で女子高生の落合真弓さん(当時=16)がひき逃げされ死亡した事件で、静岡地検は18日、業務上過失致死と道交法違反(救護措置義務違反、事故不申告)の疑いで書類送検されたヒガキ・ミルトン・ノボル受刑者(34)=ブラジルの裁判で禁固刑確定=を起訴猶予処分とした。受刑者は日本政府の代理処罰(国外犯処罰)要請に基づいて開かれたブラジルの裁判で禁固4年の刑が確定している。以下、静岡新聞より転載する。
処分の理由について、同地検の中原亮一次席検事は「ブラジルで処罰を受けていることなどを含め総合的に考慮して決めた」と述べた。
受刑者は99年7月26日夜、浜松市の国道で女子高生を乗用車ではねて死亡させた。事件の4日後にブラジルに向け出国。サンパウロ州検察当局が起訴し、09年9月、社会奉仕活動などで代替可能な禁固4年の控訴審判決が確定した。
女子高生の父(63)は18日、浜松市内の自宅で取材に応じ、受刑者(34)を起訴猶予処分とした静岡地検の決定について「全く知らなかった。事前に知らせてくれても良いのではないか」と捜査当局へ不満をにじませた。
事件発生から10年以上が過ぎたが、遺族への救済の道筋も示されず「情報が入らない10年間だった」と振り返った。受刑者に対しては「恨みや憎しみもあるが、早く忘れたい。娘の冥福を祈りながら、前向きに生きます」と語った。