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中国政府=伯方式の研究本格化=所得格差是正は国際戦略

ニッケイ新聞 2010年1月27日付け

 中国政府は24日、ブラジルの社会格差是正方式の導入を検討と25日付けフォーリャ紙が報じた。その結果、ラテン・アメリカにおけるブラジルの立場が、是正によってどのように変化したのかも調べるという。
 中国政府は最近、ブラジル研究に多大な資金を投じた。ブラジル研究の社会科学学院が昨年5月に設立され、10人の専門家が任命された。
 他に中国国会の全人代と評議委員会が、権威ある外交委員会のメンバー10人を、ラテン・アメリカ研究員に任命した。そのうち7人は、ブラジル専門となった。
 社会科学学院のビン・ウエン主任が12月、来伯しブラジル外交センター(Cebri)と応用経済研究所(Ipea)で2つの研修班を組織する契約を結んだ。テーマは、BRICsの発展モデルとBRICsへの提案。
 これまで中国の社会科学学院は、FGV(ジェットゥリオ・ヴァルガス財団)と学術交流を行っていた。中国は今年、国費で研究員3人をFGVへ派遣する。
 中国政府は、外交政策としての新興国との交流を益々積極性に進めている。中国には文革時代があって、ブラジル研究を怠ったと中国歴史学者のジ・ウエイ氏がいうのだ。ブラジルの躍進には、社会格差の是正が大きく貢献と同氏は見ている。
 中国政府は国内で益々拡大する所得格差に、中国社会のラテン・アメリカ化を導入する考えのようだ。サンパウロ大学に研究員で滞在したジ・ウエイ氏は、ブラジルの格差是正政策をブラジルの国際戦略と呼ぶ。
 ルーラの所得是正政策と企業経営、社会科学の関係を研究し、ブラジルのエリートが中国を認識する以上に、ブラジルの社会政策をそしゃくしたいと同氏が指摘。
 ブラジルは帝政時代、皇帝がイエズス会の神父や外国人学術者を招き、植物学や工学を国内で興隆させることを試みた。中国は現在、世界各国へ人材を派遣し、進んだ制度の導入を図っている。
 中国は欧米に多数の人間を派遣したが、言葉の壁でラテン・アメリカを疎かにしたことに気づいた。しかし、言語の壁と距離の問題は、すぐに解決すると見ている。
 中国政府は、ブラジル間を最短距離と最短時間で結ぶ空路を検討中。ポルトガル語の奨学金制度も設定した。200人の奨学生が近日、ポ語圏のアンゴラやモザンビークへ赴くので、ブラジル関係書籍も発刊される。