ニッケイ新聞 2010年1月28日付け
国際法弁護士事務所のエドアルド・F・マチアス氏は26日、ブラジルが1930年から79年間続いた伯米貿易を、対中国へ切り替えたことを明らかにしたと27日付けジアリオ・ド・コメルシオ紙が報じた。
鞍を乗り換えさせたのは金融危機という偶然のキッカケであったが、伯中関係は長く続くと同氏は見ている。伯中貿易は09年、361億ドルに上った。その間伯米貿易は、359億ドルだ。
金額的にはほぼ同額であるが、かつて英国が国際貿易の王座から下りたのと同じ現象だという。中国が昇る太陽なら、米国は沈み行く太陽。しかし、長い目で見るなら、米国の復活も軽視できないとしている。
11年と12年の伯中貿易を予測するなら、伯米貿易との差は広がる。ブラジルの工業が中国から輸入する資材は09年、22%減ったものの全輸入額の75%を中国産品が占めている。
伯米貿易の落ち込みで、ブラジルの輸出は09年、42%減った。輸出を挽回するため対中輸出に力を入れるなら、先ず先行投資が必要になる。ブラジルでは、対中貿易が事業計画に入ってない企業が多数ある。
欧米のような共通の文化を有するのと違い、全く価値観と歴史が異なる国への進出は、これからは避けて通れない課題と同氏はいう。危険分散のために、ブラジルは視野を広げる必要がある。