ニッケイ新聞 2010年1月28日付け
先週末開催された、茶道・裏千家の「初釜」を取材で訪れた。『初めて』という表現はそれだけで新しく、嬉しい気持ちに包まれる。
思い出すのは〃初物〃。子どもの頃「食べると75日生き延びる」と言われ、率先して季節の果物を頬張ったものだ。
初釜の会場に入るなり、厳かな雰囲気に取材する足が止まった。畳の敷かれた舞台ではお点前が披露されており、真剣な表情で取り組む姿に圧倒された。
弟子にとっても初稽古、来場者はお点前の一挙手一投足に注目し、心地良い緊張感が漂っていた。袴や着物を立派に着こなした非日系人の存在も新鮮だった。
参加者の中にはコロニアのお偉方も多くいたが、振る舞いがいつもより上品に見えたのは、気のせいではないだろう。「初~」は言葉以上に意味を持っているのかもしれない。 (仙)