ニッケイ新聞 2010年1月30日付け
マンテガ財務相は28日、金融危機の克服に向けた景気対策を終了する時期に来たことを表明と29日付けエスタード紙が報じた。同相によれば、自動車や生活家電の販売に供与したIPI(工業税)減税を、1月一杯で終了する意向だ。
政府はまだ流動的な国際的金融不安に備えて、国内の体制を固める資金を調達する考え。同相はダヴォスの経済フォーラムで、国内経済を守るため、行政介入を行ってでも体制を堅持する政府の役目を強調した。
景気対策は再々、消費を刺激しながら期限延期を行った。経済の自立成長が確かめられた今、政府支援は不要と判断したという。自動車購入への特別ローンは、3月31日を以って打ち切る。
同相は10年の経済成長率を、5%から5・5%を目標にしているという。しかし、過熱市場とインフレ到来、バブルの可能性は否定した。
ブラジルが心配すべきことは、経済成長を達成できるかにある。ブラジル経済は失地回復に勤しんでいるに過ぎず、6・5%成長などの幻想はしない。数字だけを見るなら、バブルもあり得る。
しかし、現実は多くの企業が落ち込んでいる。10年は、失われた職場を回復しなければならない。一方で熟練工不足の分野もあり、人材育成も同時進行で行う。時代は変移しているという。
世界各国が直面する問題は、莫大な債務を抱えながら新たな危機を乗り切ること。経済を刺激しながら債務の操作を行うのは至難の業だ。モラトリアム経験国ブラジルも、その例外ではない。
レアル通貨とドル通貨の為替率は、均衡状態にあり、良い方向にあると同相は見ている。これまでレアルの一方的高騰であったが、上下運動に入ったのは理想的。
大統領選では色々な臆測が飛ぶが、大統領の交代でブラジルの経済政策が変わることはないと否定した。経済が、政治の基本であることに変わりはない。ブラジルでは、経済政策の変更は不要。政策変更が選挙の結果を決めるのは、失政が認められた時だけという。