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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年2月2日付け


 あの麻生元首相は、英語は日本語よりも得意らしいが、漢字は苦手らしく、よく誤読してはマスコミに批判されていた。「友愛」が好きな鳩山総理大臣も、先ごろ「朝令暮改」と「朝三暮四」を誤って使用し新聞や通信社がお笑い種にー。戦後教育は、漢文を疎かにした嫌いがあり、この影響が大きいのだろうが、それにしてもまったくもってお粗末にすぎる▼サンフランシスコ講和条約のとき全面講和を主張する東大総長の南原繁氏を「曲学阿世の徒」とした宰相・吉田茂氏や政敵の鳩山一郎氏は漢籍への素養が高い。麻生、鳩山両氏の祖父だけれども、英文学を専攻した小説家の夏目漱石の漢詩も秀作が多く、吉川幸次郎氏の中国漢詩集にも「日本人の優れたもの」の中に取り上げられ、あの湯川秀樹氏も漢文学には強い。戦後派は漢学には弱いけれも、政界トップも同じようなレベルでは残念至極なのである▼いや、漢語だけではない。政治家の言葉が、軽くなっている。普天間飛行場の移転にしても、防衛相は名護市辺野古へと語り、外相発言も似たり寄ったり。社民党党首の閣僚・福島瑞穂氏は、「海外へ」と主張して譲らない。こういうのを「閣内不一致」と言ったものだが、この異常が今や普通になっている▼天皇陛下と中国高官の会見に尽力した小沢一郎幹事長による宮内庁長官への「暴言」もある。先の訪中では議員144人を含む600人も引き連れての大名旅行。新年会には議員ら多数を集めての宴会で師の田中角栄氏を超える勢いである。この小沢天皇も土地購入で検察庁の事情聴取を受け政治とカネの疑惑は深まる一方なのにーである。(遯)