ニッケイ新聞 2010年2月3日付け
中央銀行は金融危機再発のリスクを懸念するG20サミットの要請を受けて2月1日、金融機関の管理職に対する給与とボーナス付与を規制する意向を表明と2日付けフォーリャ紙が報じた。中銀は2日、公聴会を開き銀行規制に関する意見を聞き、G20の要請に従う考えだ。中銀としては制限額を設けず、金融業界の長期的平均額を取る計画。ボーナスは3年の分割払いとし、短期に得た営業益は、後の損失に備える剰余金として留保する。
米銀行は多額の公的資金支援を受けながら、銀行管理職に多額のボーナスを支給した。オバマ米大統領は金融危機を引き起こした責任者らに、公的資金で高額ボーナスを付与するのは、無責任な行為であると非難。G20は、金融機関の良識ある自粛をもとめた。
メイレーレス中銀総裁は、手綱を少し引き締める。中銀計画として、ボーナス予定額の60%を同年付与とし、40%は3年の留保とする。総額の50%は、同行株券を市場相場額で、または相当額を支払う。
リスク部門の管理職は出来高の歩合があり、健全な金融活動を管理する立場にあるのでボーナスがない。ボーナスは個人の能力によらず、銀行全体の業績がベース。
中銀の介入目的は、高リスク取引是非の決断を迫られる管理職が、法外な利益を得ることを避ける。この決断が裏目に出ると、国際的な金融危機の引き金になるからだ。中銀規制は2日に公表されるが、関係者の意見を伺うとしている。
同規制は、ユーロ圏で既に実施されている。英国は09年、金融システムの一部を国家管理化した。ボーナスが2万5千ポンド(7万5千レアル)を超過すると、50%課税となる。半分没収だ。フランスも、2万7千ユーロ(7万レアル)を超過すると課税だ。
両国首脳は、同規制をEU全般に適用する意向を表明。米国は7千億ドル以上の公的資金援助を受けた銀行の管理職が、給料とボーナスに同規制を受ける。そのため、公的資金の返還を急いでいる銀行もある。
ボーナス規制は銀行決算に管理職のボーナスが、どれだけのインパクトをもたらすかを見るのが政府の狙い。中銀は昨年6月、銀行決算書に管理職のボーナスを記載させることを要求。それが、今回の09年度決算に対する中銀規制だ。
ブラジルの場合、ボーナス規制とは事実上、金額の制限ではなく期間の制限と見られる。管理職の営業成績は当年で発揮できなくても、次年で結果が出せる可能性があるからだ。