ニッケイ新聞 2010年2月3日付け
2日付エスタード紙やフォーリャ・オンラインによると、サンパウロ州保安局が2日付官報で2009年のサンパウロ州での犯罪統計を発表。州内の犯罪は全体的に増加し、08年比で18%増えた強盗事件(25万7004件)は、03年の24万8406件を上回る史上最悪の記録だという。
エスタード紙が強盗事件以外にグラフ化したのは、08年の267件から304件に増えた強盗殺人や、60件が85件に増えた誘拐。置引を含む車強盗や、警官との抗争での死者が431人から549人に増加なども治安悪化を意味する。
一方、サンパウロ市やその周辺では2%と11・2%減少し、1235人と1202人を記録した殺人被害者数は、内陸部での増加を反映し、州全体では4400人から4500人に増加した。
大統領選出馬前のセーラ知事には喜ばしい結果が少ない統計だが、麻薬押収量は2000年の約3倍の2万7886キロとの数字は、麻薬を巡る犯罪が増える一方で、捜査などがより効率的に行われた結果だという。
犯罪増加傾向については本紙でも取上げた事があるが、窃盗事件や強盗殺人事件を四半期毎に比べると徐々に減少してきており、金融危機の影響などで、犯罪に走る人が増えたものの、現在は沈静化してきているとの声も出ている様だ。
ただ、犯罪の増加や減少をただ一つの要因で説明する事は困難で、専門家は、08年の市警と軍警の衝突事件以後、両者の連携が上手く取れていないことも犯罪増加に繋がったと指摘。
警官による死者増加は警察内部の管制不足の結果でもあり、車の盗みや誘拐事件の増加は、銃規制の取締り緩和や警察の捜査力不足を利用したものだとの声もある。
1日付エスタード紙には、サンパウロ市のドン・ペドロ2世公園と産業庁舎(パラシオ・ダス・インドゥストリアス)間の歩行者専用道は、ナイフやスプレーなどで武装して歩行者を襲い、金品を強奪する不意打ち強盗多発で、〃ファイシャ・デ・ガザ〃と異名がつく程緊迫した危険区域に変貌。警察も巡回を強化するというが、危険とされる地域での一人歩きは避けるなどの自己防衛も必要だ。