ニッケイ新聞 2010年2月3日付け
【静岡新聞】地域に暮らす外国人の学習拠点となる「浜松市外国人学習支援センター」が1月18日、静岡県同市西区雄踏町にオープンした。自治体が開設する外国人学習支援施設は全国的にも珍しい。日本語学習や地域交流の場として、ブラジル人をはじめ約2万9千人の外国人が暮らす外国人集住都市のモデルを目指す。
旧雄踏庁舎を改装した施設は2階建てで、施設面積は延べ約2400平方メートル。1階に講座室や交流スペースを設置し、日本語教室や日本語を教えるボランティアの養成、異文化体験講座などが行われる。2階部分には南米系外国人学校「ムンド・デ・アレグリア」が入居する。
開設式では鈴木康友市長やルイス・セルジオ・ガマ・フィゲイラ在浜松ブラジル総領事ら来賓がテープカットを行い、鈴木市長は「念願だった施設が完成し感無量。多文化共生のモデルとして活用し、成果を発信していきたい」とあいさつした。
市内の外国人登録者数は全人口の約3・6%を占め、ブラジル人は約1万6千人(2009年末現在)。08年以降は景気後退の影響で失業者が増え、再就職のための日本語習得などが課題となっている。
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【静岡新聞】浜松市が18日に開設した「市外国人学習支援センター」(西区雄踏町)では、南米系外国人学校「ムンド・デ・アレグリア」が授業をスタートさせた。公的施設を外国人学校に貸与する例は珍しく、手狭だった教室は約2倍に。目の前には大きなグラウンドも広がり、在籍するブラジル、ペルーの子ども約100人に笑顔が広がった。
「これまでご支援して下さった方々のおかげ。地域で活躍できる人材育成のためにがんばりたい」-。同センターで開かれた開校式で、松本雅美校長は涙ながらに感謝の言葉を述べた。
ムンド校は2003年、南区卸本町の事務所を改造して開校。スペイン語とポルトガル語の授業を行い、04年には南米系学校として全国で初めて各種学校の認可を受けた。しかし各種学校への国の補助はなく、県や市の財政援助にも限りがある。古い事務所は設備が不十分で老朽化も進んでいたため、市が当初取り壊す予定だった旧雄踏町庁舎の活用を提案した。
一昨年秋以降は保護者の失業が増え、月謝が負担できずに学校をやめてしまうケースも急増。日系ペルー人のケプレル・ガルシア・カタヤマ君(15)もその一人で、5カ月間自宅にこもっていたが、授業料の免除を受けて昨年5月から再び通学し始めた。生徒代表としてあいさつしたケプレル君は「広くてきれいな学校で、友達と一緒に勉強できてうれしい。将来の夢はたくさんある。日本語も一生懸命覚えたい」と意欲を語った。
同センター1階は市民の学習施設として、外国人対象の日本語教室など各種講座も始まった。開館時間は平日の午前10時~午後3時半(火・木曜日は午後8時)。問い合わせは同センター〈電053(592)1117〉へ。