ニッケイ新聞 2010年2月10日付け
中央銀行は8日、経済の基本となる政策金利(Selic)をベースとして配当する政府債務残高が09年12月、GDP(国内総生産)比、過去最大の62%に達したと発表したことを9日付けエスタード紙が報じた。
同比率は06年、41・7%で健全財政を誇っていた。高率がとかく批判された政策金利は、政府にとっても過重負担であった。それが新たな金利引上げ時代を、迎えようとしている。
次の引き上げは、インフレの再来が懸念される3月か4月ころと見られる。または、上半期終わりか下半期初めと予想する向きもある。
政策金利の引き上げで喜ぶのは、投機家とポウパンサ預金者だけ。政府の借金が増えるほど儲かるからだ。銀行筋は金利引上げを歓迎していることで、大統領府は金融筋の反応を不快とした。
Selicで配当を受ける国債は最近、急増した。06年の41・七%から、07年は47・2%。08年は58・2%。これは政府が確定利付き国債とし、外貨準備資金に充てる計画を打ち出したからだ。
ブラジルが債権国であった06年、外貨準備計画は機能した。債務のGDP比が同年、3・4%であったからだ。それが翌07年、GDP比が17・5%へ債務が飛躍。続いて08年は30・3%と増えた。
当時中銀は銀行からドルを購入し、レアルで支払った。この取引が裏目に出た。そのレアルが市場に流通しインフレ懸念を引き起こしたので、中銀は銀行に国債を売ってレアルを回収。普通は投資家に売る国債を銀行へ売ったのだ。
そのため外貨準備高は増えたが、同時に国債も増えた。この金融取引は、中銀と2つの約束を取り決めた。銀行へ売りつけた国債を配当付きのレアル換算で引き取ることと、銀行は国債を中銀へ返還すること。
だから債務総額4547億1千万レアルといっても、外貨準備のために発行したヒモ付き国債も含まれる。そのヒモ付きを差し引くと、62%は28・2%に減る。しかし、Selicをベースにバッチリ配当を取られることに変わりはない。