ニッケイ新聞 2010年2月12日付け
財務省は10日、2009年度の経済成長率は0・1%の予測であったが、政府渾身の努力に関わらずマイナスで終わる可能性があることを表明と11日付けエスタード紙が報じた。ブラジルがG20の中で金融危機をいち早く克服し、卓越した国の一つであることを政府は強調し、野党の攻撃に備える考えのようだ。財務省は、今回の金融危機が歴史上稀に見る大恐慌であったことを説明し、ブラジルは即時救急措置を講じ、社会混乱などの最悪事態を避けたことを強調するようだ。
そのための施策が、財政黒字の低減や減税措置であった。最終的な結果は3月、09年の第4四半期集計を終え次第、ブラジル地理統計院(IBGE)から発表される。救急措置は奇跡的な消費拡大を演出したが、国家経済の起爆剤にならなかった可能性がある。
国税庁の税収は緩やかな増収を記録したが、市場に産業回復の実態は反映されなかった。それでも09年の第4四半期は、金融危機が表面化して無気力状態であった08年の第4四半期に比べて、5%以上の成長が見込まれている。
もしも、09年の経済成長率がマイナスであるなら、コーロル元大統領が政権の座から追われた1992年以来の出来事となる。金融危機後1年目の結果を、選挙の年に説明するには政治的配慮が必要のようだ。
いま大切なのは、好調な生産経済の継続と雇用の創出、勤労者所得の向上、幅広く意欲的な企業経営者の投資。政府の政策が支持されるため、その鍵を握るのは有権者であることを訴える。
ただ、過去80年で最悪といわれる金融危機を克服するだけの実力を、政府が養ってきていたのは紛れもない事実といえそうだ。それは、危機の表面化以前にも、政府が均衡財政に務め、外貨準備を充当してきた結果といえる。
財務省の09年度の経済成長率は、0・1%見込みであった。しかし、この見込みには、振幅がある。09年の各四半期間には、沈静化や想定外の波乱万丈な動きがあったからだ。