ニッケイ新聞 2010年2月12日付け
いよいよ「カーニバル2010」が開幕する。一番の目玉であるグルッポ・エスペシャルはサンパウロでは12、3日に14チーム、リオでは14、5日に12チームが出場し、栄冠を目指す。毎年、日本人も多数参加するが、今回はパレードの要として出場する二人に出場前の意気込みを聞いた。
「人と人との繋がりを感じ人生の醍醐味を味わいたい」―。
2005、06年と連続優勝したサンパウロのグルッポ・エスペシャル「Imperio de Casa Verde」のメストレ・サーラとして、5回目の出場を果たす三由翼さん(29、埼玉)は、そうカーニバルの魅力を語る。
メストレ・サーラは、チーム旗を掲げるポルタ・バンデイラと対になって先導する重要な役割だ。昨年までは3組のうちの3番手だったが、今回初めて2番手に昇格。幼少からサンバ一筋のブラジル人ですら憧れの役割、外国人としてはごく稀な抜擢だ。1チーム約3千人がパレードして10項目で採点されるが、この役割は3組6人だけの演技で1項目として評価される重責を担う。
「存在感がある大役。エレガントな姿勢を魅せたい」と意気込む。
「パレードに向かうプロセスがカーニバルの醍醐味。本番は体が勝手に動く。皆との一体感を楽しみたい」と抱負を語った。
∞
「リオのエスペシャルで出場するのが夢だった」。パシスタ(ソロダンサー)として4回目の出場となる葛西叙江さん(37、埼玉)。今まではサンパウロ市だったが、今回はリオのグルッポ・エスペシャル「Imperatriz・Leopoldinense」に挑んだ。
夢を叶えるため今回は08年10月に来伯、サンパウロ市に居を構え、週末ごとにリオへ通い、パシスタの試験を受け続けた。
リオにこだわる理由を「層が厚く、盛り上がりが違う。サンバが体に染みついている感じ」と憧れの目をみせる。
だが、日本人という理由で相手にされず、いい加減な情報にも振り回され苦しんだ。「でも、それが逆に火を付けた」。
ブラジル人の友人に教わり、ビデオで研究をする毎日。サンバ教室を開き、日本人に教え、自分の踊りを組み立て直したことも。その甲斐あって、1月中旬にパシスタに決定。数少ない座を射止めた。
練習は熾烈を極めた。「サンバに決まりはないが、しなやかさや野性的な動きではブラジル人に勝てない」
日本人は目立つので気を抜けず、気絶しそうになったこともあり「死ぬかと思った」とも振り返る。
葛西さんは「真剣にバカ騒ぎをする、このパワーが好き。尋常じゃないですよ。とにかく楽しみたい」と目を輝かせた。
■
グルッポ・エスペシアルのプログラムは次のとおり。【サンパウロ】▽12日= Ipiranga(深夜11時15分開始、各60分間程度)、Leandro、Tucuruvi、Mancha、Vila Maria、Rosas、VaiVai。▽13日=Aguia、Tom Maior、Mocidade、X-9、Gavioes、Imperio de Casa Verde、Perola。【リオ】▽14日=Uniao da Ilha(夜9時開始、各80分間程度)、Imperatriz、Unidos da Tijuca、Unidos do Viradouro、Academicos do Salgueiro、Beija-Flor。▽15日=Mocidade(同)、Porto da Pedra、Portela、Academicos do Grande Rio、Unidos de Vila Isabel、Estacao Primeira。