ニッケイ新聞 2010年2月13日付け
アモリン外相は11日、イランのアハマディネジャド大統領が自国内でウランの80%濃縮が可能であるとする声明を発表したことで、ブラジルの支持も限度があることを表明と12日付けフォーリャ紙が報じた。これまでイランの力強い支援国とされてきたブラジルは、イランが核兵器の製造も可能なレベルのウラン濃縮に挑戦することに、同国との仲介役は無意味であると判断した。だが外交関係は保たれ、ルーラ大統領のイラン公式訪問は予定通りとされている。
アモリン外相によれば、ウランの20%濃縮は平和目的と理解するという。しかし、80%濃縮はTNP(核不拡散条約)に抵触しブラジルの許容範囲を超えるため、会見で外相は「遺憾である」と3度繰り返した。
同外相によれば、イランが80%濃縮を宣言することは禁じられていないが、イランのために不利だという。ブラジルがそれで仲介役を引き受けるのは、建設的でないとイランに警告した。
ブラジルは、イランにウラン80%の濃縮技術があることを前以って何ら報告されてなかったと言明した。もしイラン大統領の声明が根拠のある事実なら、遺憾なことだと外相は述べた。
医療目的の20%濃縮にしても、イランは欧米列強の理解を得るまで、濃縮作業の開始を待つべきだと同外相は見ている。それはイラン政府にも3カ月前、よく説明したはずだという。
核に関しては疑心暗鬼を生まないため、欧米列強とイランは些細な行為でも明白にする必要がある。20%のウラン濃縮も、密室で行わないよう願うと同外が警告。
同外相は「イラク武力介入の過ちが繰り返されないため、世界は心配している。イランが第2のイラクとならないよう、知恵ある解決法を探すべきだ」と述べた。
米政府は他の拒否権を有する国連常任理事国が対話交渉を続けているのに、一方的に対イラン制裁の拡大解釈を行っている。特に中国はイランと通商関係で太いパイプを持つため、イラン制裁には反対の態度を明確に打ち出している。
国連安保理5カ国による満場一致の支持と、ブラジルを含む非常任理事国4カ国以上の支持がなければ、イラン制裁は発動しない。
ブラジルが心配していることは、EUの懸念と同じだ。制裁は双方の対話を益々複雑困難にし、最悪の事態を招く可能性さえあるということ。