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サルバドールから世界へ=トリオ・エレトリコ60年=マラカツ想起のアシェも

ニッケイ新聞 2010年2月16日付け

 11日からカーニバル公式行事開始のバイア州サルバドールは、熱狂的な雰囲気の中にも温故知新の時を過ごしている。
 というのも、同地のカーニバルを特徴付ける二つのものが、記念の年を迎えているから。
 その一つは、今や世界中に普及したトリオ・エレトリコ(以下トリオE)。各地のイベントで年中見かける、楽団などを乗せた大型車だが、その原型が生まれたのは、1950年のサルバドールでのカーニバルだ。
 14日付エスタード紙は、原型となった1929年製フォードのビゴデや、60周年顕彰の意味で、同車上で大きな鍵を受取った今年のレイ・モモの写真などを掲載。
 原型のフォード車は、ドドーことアドウフォ・アントニオ・ナシメント氏とオズマールことアウヴァレス・デ・マセード氏が、開発直後のパウ・エレトリコまたはバイア式ギターと呼ばれる当時4弦の楽器を演奏しながら街中を走行したもの。
 翌年には、ドドーが高音のバイア式ギター、オズマールが低音のヴィオロン・パウ・エレトリコ、友人のテミストクレス・アラゴンがテノール・ギターを演奏。3人が、クライスラーの小型トラックに「オ・トリオ・エレトリコ」と書いてパレードした事が、演奏者を乗せた車をトリオEと呼ぶ発端となった。
 このトリオEは、1983年にはイタリア、1985年にはフランスでも披露され、世界的に利用される様になった。
 一方、25周年を迎えたのは、アフリカのリズム(マラカツ)を取り込んだ音楽アシェ。
 ドドー達がバイア式ギターを開発した頃からマラカツを取り入れた音楽は浸透していたが、1975年のカーニバルに、従来は楽器だけだったトリオEに、歌手のモラエス・モレイラが乗り込んで歌い始めたのをアシェ誕生の年とした様だ。
 サルバドールのカーニバルでは10年間歌わなかったモラエスが、今年はアシェ25周年を記念し演奏。同地のカーニバルはロック、セルタネージョ、フォフォその他、様々なリズムが入り混じり、「アシェは死んだ」と言う音楽家もいるが、「アシェはバイア音楽を特長付けるもの」との市長の言葉を15日付エスタード紙が報じている。