ニッケイ新聞 2010年2月18日付け
アモリン外相は15日、5月マドリードでEUメルコスル通商協定の調印が、EUラテン・アメリカ協定の決定を待たず行われる見込みと発表したことを16日付けエスタード紙が報じた。
難航した交渉であったが、最終盤でのドンデン返しはないだろうと外相がいう。EUは快諾したが、政治的な社交辞令ではないと見ている。協定内容は、ブラジルにも画期的なものと述べた。
アモリン外相の声明は、EUのカテリン・アシュトン外務代表とEU議長国スペインのミゲル・A・モラチーノス外相の前で発表した。
両地域にとり、農業分野で双方の要求が大きく食い違い、04年に座礁に乗り上げた同協定締結は大仕事の一つ。しかし、協定の締結にスペインが一肌脱いだ。
食糧問題は国家安全保障の根本であり、一筋縄では行かなかった。ラテン・アメリカ諸国も国際司法裁判所に訴える強硬姿勢をとっており、生産者側のブラジルにとって複雑な問題であった。
交渉の進展は、EU議長国スペインとメルコスル議長国アルゼンチンの間で見るものがあった。双方が国家安全保障を前提として容認した食糧需給に対し、ブラジルがお墨付きを与えることとなった。
EUはイランの核開発計画でも、ブラジルが重要な役割を担っていることを認識。これからの成り行き次第では、ブラジルが鍵を握ることになりそうだと見ている。
発展途上国を率いるブラジルを、EUの戦略的パートナーとして捉えているとアシュトン代表はいう。またEUは、ブラジルの最大貿易相手国と南米の最大投資国となることを目指すと表明した。