ニッケイ新聞 2010年2月18日付け
邦字紙読者の大半は6、70代。それに対して、取材記者は2、30だから、世代から生まれる感覚的な齟齬がどうしても起きる。いかんともし難いのは、多くの読者の共有体験である移住、そして農業の知識・経験が当方にないことだ▼「あんたらは土をいじったことないからね…」と書いた記事について、コメントされたことがある。人生を賭けて取り組んでいることを数時間の取材と限られた文量で書くのは骨の折れることだし、実際分からないことも多い。一方、「農業に関する記事を取り上げて欲しい」という声も多く聞いてきた。「それが農業移民だった読者の関心事なのだ」とも▼このたび本紙では不定期ながら「農業特集ページ」を始めた。13日に掲載した第1回目では、サンパウロ州中央青果市場(セアザ、CEAGESP)のモライス会長へのインタビューを巻頭企画に、『がんばれ! 日系農家』シリーズでは「森本蘭園」を紹介した。栽培を始めたルシアさんは長くサンパウロ蘭協会の会長も務めた人物だ▼先月末、農拓協とJICAの共催で行われた「日系農協セミナー」に参加者にも取材させてもらった。そのなかで、今回はイグアスー農協を取り上げた。後継者不足に悩みながらも、地元テレビで広報活動をする取り組みは興味深い▼新しい取り組みだけに、暗中模索。経験豊かな読者諸兄のご指摘、感想をいただければ嬉しい。それが記者の励みにもなり、読者と記者の感覚の溝を埋めることにもなると思う。このページは広告で成り立っている。ご賛同頂ける方のご支援もあわせてお願いしたい。(剛)