ニッケイ新聞 2010年2月20日付け
ブラジリアで行われているPT(労働者党)党大会で20日、ルーラ大統領が懸案中の置き土産「労働者が産業の繁栄に比例して貰えるボーナス法案」が討議されることになると19日付けエスタード紙が報じた。
それを聞きつけた野党PSDB(民主社会党)が「負の置き土産」と非難。輸出産業を悪化させ、貿易収支を大幅衰退に追い込んだことを野党が杞憂と次のような論説を同紙が掲載した。
ルーラ政権のお陰で労働者の生活が向上したことを、選挙の宣伝文句にPTは強調する。多くの消費者が、中古の自家用車を購入。生活家電も新品に交換。子どもには待望の運動靴を購入。
北東伯からパンと水で飢えをしのぎながらトラックの荷台に揺られ大都市へ流れこんだ流民は今、飛行機で里帰りをする。故郷へ錦の姿が、航空会社の宣伝に使われている。
貧民への福音をもたらした功労者として、中銀のメイレーレス総裁を、大統領は副大統領候補に担ぎ上げる考えだ。しかし、連立党であり総裁の古巣であるPMDB(民主社会党)は、それに難色を示した。
野党は「負の置き土産」を訴えても、説得力を欠く。輸出による繁栄を欠いた花見酒経済は、一時的発展はあっても限界がある。為替政策不在。高金利政策。壊滅的状態の輸出産業。雇用情勢はやがて深刻化と、訴えても馬耳東風のようだ。
経常収支の悪化は、高金利で外資流入を招き、穴埋めをすればよいと思っている。この軽挙な考え方は、前政権からの風習だからPTだけを咎められない。経済政策を改善しようと叫んでも、理解されない。
PT政権の経済政策は、前政権がレールを敷いたもので、現政権はその上を走っただけ。逆にいえば、結果が良いのは、PTの功績だとはいえないことになる。PT政権の経済政策が悪いというなら、前政権の経済政策も悪いことになる。