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選挙地方裁判所=カサビ市長に当選無効判決=控訴で徹底抗戦へ=「司法ではなく政治判断」=違法献金20%以下なら黙認

ニッケイ新聞 2010年2月23日付け

 ジウベルト・カサビサンパウロ市長(DEM=民主党)は21日、選挙地方裁が第1審で同市長の当選無効判決を下したことで、選挙高等裁の正しい第2審判決を期待すると声明を発表したことを22日付けフォーリャ紙が報じた。第1審では1千万レアルの違法献金を告発されたが、違法は一切ないと宣言。同市長の弁護士は22日、控訴した。同市長は、選挙高等裁の判決まで現職に留まる。DEMは、選挙に向けたイヤガラセだと見ている。

 選挙地裁が告発したのは、選挙総費用2980万レアルの33・5%に当たる約1千万レアルが違法献金だという。
 内訳はカマルゴ・コレイアの300万レアル(以下、R)、AIB(不動産協会)の270万R、セルベング・シヴィルサンの120万R、Cr・アウメイダの100万R、OAS建設の80万R、イタウ銀行の50万Rなど9社。
 選挙法によれば、AIBは不動産労組の看板組織で、労組の政治献金は禁じられている。サンパウロ市職員の給料を預かる銀行と市の公共工事を請け負うゼネコンの政治献金は、賄賂と見なし禁止。
 サンパウロ市長の弁護士ペンテアード氏によれば、官報公布前であるが選挙高裁へ控訴の意向を表明。ゼネコンの政治献金は06年、ルーラ大統領の選挙にも献金をした前例があり、選挙高等裁は合法判決を下した。
 当選無効判決は、サンパウロ市議16人の判決でも第2審を以って執行となる。従ってサンパウロ市長の当選無効も第2審まで審理中ということ。市長側抗弁によれば、選挙に関する司法判断に曖昧さと不確定要素があり、法的根拠のない判決は見直しの必要があると訴えている。
 DEMは、「判決は司法判断ではなく政治判断だ」と糾弾。判例を見れば明白だが、これまでルーラ大統領にはえこひいきをした。選挙地裁がサンパウロ市役所とDEMの転覆で、片棒を担いでいると告発。DEMのマイア党首は、判決が政治的に偏重しており、選挙裁の司法判断に疑問を呈した。
 マルタ・スプリシ候補とジェラウド・アウキミン候補の政治献金についても、選挙地裁は不審ありとして献金明細書を公証役場へ回送したが、立ち消えとなった。もしも違法献金が立件されると、両人は10年まで政治活動禁止となる。
 選挙裁の立件判断は、政治団体や企業の政治献金が、選挙総費用の20%を超えたら選挙結果に無効判決を下す。選挙裁が違法と判断した場合、内密に訂正をさせて黙認としているようだ。