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ピラール=農畜産展に3万人が来場=市と共に発展する日系=「副」として実務を支え

ニッケイ新聞 2010年3月3日付け

 日系の協力が不可欠ですよ――サンパウロ州聖南西地区のピラール・ド・スル市では今年も市役所主催で第14回農畜産展が2月25日から28日まで開催され、地元日系農家や文協、日本語学校の協力により、計約3万人が来場するなど盛大に行われ、市長の右腕、高橋アレシャンドレ・トミオ同畜産展実行委員長はそう力強く語った。副市長、市議会副議長も日系という存在感の強い町だけに、町の発展を支えるコロニアの働きが実感される農畜産展となった。

 2月26日夜9時から行われた開会式では、バンダ・リラ・クラリッセに続き、ピラール文化体育協会の太鼓部「親友太鼓」が4曲を披露し、幼少年から青年までの男女約30人が息のあった演奏を繰り広げ、会場から大きな拍手を浴びた。
 国歌、市歌の後、レナート・アマリ下議、ルイス・カルロス・ゴルジン州議のあいさつに加え、州議時代に緊密な協力をした安部順二元モジ市長は「ブラジルは世界でも恵まれた土地であり、ピラールの農業はそれを活かして発展してきた。ブラジル発展の見本がここにある」とほめあげた。
 米村隆生(たかお)副市長も「この町の90%は農業で生きている。農畜産展はその発展ぶりを示す場だ」と語り、黒岩トシミ市議会副議長も「この週末存分に楽しんで欲しい」などとあいさつした。
 アントニオ・ジョゼ・ペレイラ市長も開会式のあいさつで「カイカン(会館)や日系コロニアのおかげで今年も立派に開催できる。こころから感謝したい」とのべた。 そのほか、連邦選挙の年とあって縁のある多くの候補者や近隣市長らが多数壇上から挨拶した。
 50年代、当時の最高票を集めて最初の日系市議に就任した高橋ロッキさん(二世)の息子、高橋トミオさん(39)が今農畜産展の実行委員長。ニッケイ新聞の取材に対し、「展示の部分やヤキソバはもちろん、農村ツアーの試みとか日系の参加が町の発展の基礎です」と強調した。
 元会長の南満(72、福岡県)学務理事も「市の祭りを手伝うことで若い人と文協の繋がりも育ってきている」との効果をあげる。サンパウロ市から参加したインスティチトゥート・イカロの小川彰夫代表も「日系の団結がすごい。地域と一緒に発展している様がよく分かる」と感心した様子。
 父親がピラール開拓の草分けの、同文協の伊藤正男会長(69、二世)は「第1回から文協は市に協力してやってきた。今回も婦人部やスポーツ部、日本語学校などで手分けして2千食のヤキソバを用意している。文協や学校の資金集めに役立つ」という。会員は160世帯おり、農業後継者が育っていることから、父兄会などが中心になり日本語学校を盛り立てている。
 同地日系農家の80%は果実栽培に従事し、柿、すもも、アテモイア、びわ、洋なしを中心に、デコポン、リンゴ(エバ)も盛んになってきているという。
 花火やセルタネージャ演奏、ロデオなど市民は夜が更けるまで同市最大の祭典を堪能した。