ニッケイ新聞 2010年3月5日付け
【パラー州ベレン発=下小園明仁通信員】パラー州初の鳥居が汎アマゾニア日伯協会の入り口にお目見えした。本紙の調査によれば、サンパウロ、パラナ両州を中心に建立、現存する鳥居は74基。同州初となる鳥居は75基目となる。落成式は2月28日午前に執り行われ、関係者らは新たな日系社会の象徴の誕生を喜んだ。
移民80周年祭記念事業の一環として、昨年11月から駐車場の整備とともに建設を開始。
幅4米、高さ4米の大きさで、以前あったレンガ塀を除去、厚さ10ミリの強化ガラスをはめ込めこんだことで、通りから協会玄関が見えるようになった。
建設資金は、宮坂国人財団より施設改修費として3万レアルの助成をうけたほか、地元日系企業のY・ヤマダ、岡島博、カピトンポッソ日伯協会等からの寄付合計4万6090レアルで賄った。
落成式には、在ベレン総領事館の小島康蔵領事、パラー商工会議所の山本陽三副会長、援協大江牧夫副会長ら来賓が出席した。
施設内にある神内講堂は年間約90回、約5万人の利用があるが、この鳥居の誕生により、さらに知名度が高まると期待される。
総会も開催、80周年から5万レ寄付
式典前には、「第53回定期総会」が同協会貴賓室で開催された。約40人が出席した。
同協会は地方の日伯協会18団体(推定会員数600)、法人会員6社、特別会員59を傘下に擁する北伯日系社会を代表する協会。
昨年行われた日本人移住80周年に関して提出された報告書では、「ベレン市議会、パラー州政府から日系功労者に名誉賞が贈られた。当日伯協会が80周年祭典委員会より委嘱を受けた『ミス日系』や『アマゾニア祭り』は、予想以上の観衆を集め、いずれも大きな成果を得た」と評価された。
すでに解散したアマゾン移民80周年祭典委員会が、収支差益5万1650を同伯協会に寄付したことも発表された。
その一方で、「協会が掲げる日本文化の伝承と継続及び協会を存続させるには、地方の日系協会の統廃合を視野に入れ、早急に組織の見直しを図るべき」だとの意見もあり、今後の日系社会の行く末を案じる声も聞かれた。