ニッケイ新聞 2010年3月6日付け
ジウマ・ロウセフ官房長官(PT=労働者党)は4日、ライバルと目されるセーラサンパウロ州知事に水を空けられた南東部と南部のミナス州とサンパウロ州、南リオ・グランデ州を選挙遊説する日程を組んだと5日付けフォーリャ紙が報じた。国内第2の票田で野党(PSDB=民主社会党)ネーヴェス知事の地元、ミナス・ジェライス州を重点とし、官房長官も同州ベロ・オリゾンテ市出身であるよしみに訴える作戦。長官は、ミナス州の方言を練習する熱の入れ方だ。
街角に3人集まると、サンパウロ州では商売の話をし、ミナス州では政治の話をするといわれるほど、政治への関心が高い州で生まれた官房長官だが、青春時代をサンパウロ州で過ごし、南リオ・グランデ州で政界入りをしたため、地元での知名度は高くない。
南東部と南部で支持率に遅れをとるのは、本当の実力が評価されていないからだと同長官は見る。2月28日発表のダッタフォーリャ南東諸州調査によれば、セーラの38%に対しロウセフ24%。14%の差が動機のようだ。
ミナス州は、ネーヴェス知事の行政手腕に73%が評価した。これは同知事が、同州有権者の凝固剤となっていることを意味する。ミナス州とサンパウロ州は、別名ミルク・コーヒーといわれる野党PSDBの地盤だ。
アエシオ・ネーヴェス知事の祖父故タンクレード氏は軍政を終結させた功績が神話となりつつある。同氏の生誕100年顕彰式は、政治州ミナスを印象付けた。
大統領候補としてのロウセフ官房長官は、ミナス州が生んだ、もう1人の政治家であり、ミナス州の誇りであることを強調する。ミナス魂を理解できないと、ブラジルの政治は分らないという。
公共工事の竣工式と選挙運動を兼ねた政治戦略は、受難週の4月2日を以って終わる。立候補者は同3日までに現職を辞任。官房長官の選挙宣伝を兼ねたPAC(経済活性化計画)竣工式は、3月29日が最後になる。
ルーラ大統領から乳離れをするロウセフ候補は、ミナス州で生家跡や幼時に遊んだ場所、通った小学校を見せる。青春時代を地下活動で過ごしたため、ロウセフ家は謎に包まれている。
地元で殆ど知られていないロウセフ家とミナス州の関わりを、有権者に公開する。官房長官の政界入りが、南リオ・グランデ州であったため南部の方言に染まっている。そのため、ミナス訛りの練習をしている。