ニッケイ新聞 2010年3月9日付け
アチバイアで両親とともに大保農園を営む大保広幸マルセロさん(23、三世)は、昨年度JICA日系研修の個別短期・研究技術者コースに参加、10月から12月に京都府農林水産技術センターで花卉栽培の研修を行った。以前はプロ野球選手を目指し日本へ野球留学にも行った経験のある大保さん。家族の花卉栽培を手伝っていたが、専門的に栽培方法を学んだ経験はなく将来には確信がなかった。そんな折り、同研修プログラムの募集を知り、自ら参加を決意。2カ月間という短期の研修だったが、それが「僕の人生を変えた」と目を輝かせる。
同技術センターでは、ビニールハウスの建て方から挿し木の方法、土壌の作り方、発根技術を学んだ。また、各農園を訪問し、日本の農家の花卉栽培にかける思いを知り刺激を受けたという。
大保農園ではミニバラ、イクソラ、ゴールドクレストを中心に約30種の植物を栽培。「僕はまだ詳しくないから」と話す大保さん、両親の指示を受けながらセンターで学んだ栽培法を同農園で実験中だ。
農園を案内しながら、「日本で学んだやり方で環境を整えてあげさえすれば、こういうのももっと品質を向上できるはず」と端っこが枯れたゴールドクレストを前に、目標を掲げる。
「花のつぼみが開くのを見るとすごく幸せ。日本へ行き、ずっとこの仕事をやりたいと思う何かが見つかった」と笑顔をみせる大保さん、「蘭や菊、他の花にも挑戦したい。お客さんのほうから買いに来てくれる、そんな綺麗な花を手掛けたい」と夢を語った。
父タカシさんは「研修から戻ってきたらしっかりと目標が定まったようで安心」と見守っていた。
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JICA日系研修生の派遣は年間100人以上。下半期の募集は5月21日まで。