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ブラジルは世界3位に=米・EUに次ぐ食糧輸出

ニッケイ新聞 2010年3月10日付け

 世界貿易機関(WTO)は6日、ブラジルが08年に、カナダを追い抜き世界で第3位の食糧輸出国になったと発表したことを7日付けエスタード紙が報じた。
 過去10年では中国やオーストラリアを追い抜き、いまや米国とEUに次ぐ食糧大国として、農畜産物を世界へ供給する国となった。ブラジルは08年、614億ドルの農産物を輸出した。
 ブラジルが世界一を誇るのは、エタノールやコーヒー、オレンジ・ジュース、鶏肉、牛肉、砂糖、煙草など。第2は大豆やとうもろこし、大豆粕など。豚肉は4位。
 ブラジルの農業生産は、可耕面積や水脈、気候などの自然条件に恵まれている。ブラジルは熱帯農業の旗手として、大豆ととうもろこしの二毛作が可能な利点を持つ。 現在の穀類生産は、米国やEU、カナダなどの温帯農業へ80%を依存し、可耕面積が限界にある。やがて、ブラジルに依存するようになる。
 Embrapaの調査によれば、農業技術の発展により、反当たり生産量が向上。過去10年、作付け面積は1・7%増なのに、生産は4・7%増の成績を上げた。ブラジルはまだ、食糧輸出国として米国やEUにはほど遠い。食糧全般では、ブラジルの倍以上を両国は世界へ輸出している。
 米国は08年、1400億ドル、EUは1280億ドルの食糧を輸出。このレベルにブラジルが達するには、国策としての農業戦略が必要であり、これからの課題だ。
 ブラジルが世界の食糧供給国となるためには、貧弱なインフラの改善と環境政策が必要になる。国道や鉄道、港湾は、待っていても何も改善しない。それに先進国の補助金制度だ。
 しかし、最大の問題は、インフラ不在のため活用できない耕土が多いこと。また世界は異常気象による不測の事態が起きていることで森林伐採に対する国際的な干渉が煩くなっている。
 10年前は1億ヘクタールを伐採して耕土拡張も可能であったが、環境規制により6千万ヘクタールに縮小された。4千万ヘクタールは、牧場の全面積に匹敵する。
 農業前線として注目され投資家の出現を待っているのは、バイア州西部とマラニョン州南部、ピアウイ州南部とトカンチンス州1部の3カ所とされる。急がれるのは国道などの輸送網の整備だ。