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Fiatスチロに欠陥指摘=政府、前代未聞の決定=走行中に後輪外れる?=留め金具材質の設計ミス

ニッケイ新聞 2010年3月11日付け

 政府は9日、フィアット自動車会社が04年以降生産した車種スチロ(Stilo)を欠陥車と見なし、直ちにリコールを行い後輪部分の点検を行うよう前代未聞の決定を下したと10日付けフォーリャ紙が報じた。同車種は30件の事故を起こし、8人の犠牲者を出したことで、政府は欠陥車と断定した。法務省消費者保護局は、同車種所有者に再点検を呼びかけた。フィアットはリコールに至った政府決定が、根拠のないもので異例的措置であると抗議した。

 同車種は走行中に、後輪が外れるというのだ。政府は検察庁に対しフィアットの刑事責任を検討させ、同車種を販売続行なら300万レアルの罰金を科すと通告。
 同後輪には4本の留めネジがある。1本が緩み始めると長時間走行中、全体が緩み車輪が外れる。04年4月から10年2月までに、6万9508台のスチロが出荷された。同車種でもABS(アンチロック)ブレーキ搭載は、リコール対象から外されている。
 同車種の欠陥は07年末、法務省消費者保護局で疑問の声が上がった。08年6月から同車種の監査委員会が立ち上げられ、今ようやく欠陥とリコールが決まった。委員会はこの期間、フィアットへ13回疑問を呈したが一蹴されたという。
 運輸省交通局(Denatran)の鑑定書では、同車種に3点の欠陥を指摘した。1は幾何学的欠陥。重量級のスチロに、軽量級ウノ車のネジを流用。2に材質の欠陥。鋼鉄を使うべきところ、銑鉄を使った。3にネジの固定法が、ABNT(ブラジル技術規格)を守っていないミス。
 出先機関とフィアットの間には再々警告があったが、鑑定書待ちで現在まで保留されたようだ。決定では、ネジと車輪の留め部品を銑鉄から鍛鉄に交換させる。
 消費者保護法10条では、消費者の生命に危険が懸念される製品の販売を禁止。今回の鑑定書が出る前にも、2回鑑定書が出たが、車輪が外れることを明記しなかったから放置したようだ。
 消費者保護局は、フィアットの業務過失罪で提訴準備に入る。また同車所有者は、欠陥車両の他に欠陥が原因とする損害賠償も要求するように呼びかけている。当のフィアットは、構造上の欠陥を否認、スチロに問題はなかったとしている。