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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年3月12日付け

 「この種の運動としてはコロニア初かもしれないな」。「政治に倫理を」運動の記者会見(詳細は7面)を終えた時、そうつぶやく人がいたのが耳に残った。確かに今まで日系団体は政治活動を臆病すぎるぐらい避けてきた。バルガス政権時代に虐められた日本移民の記憶や、勝ち負け紛争時にブラジル人から虐められた二世らは、胸を張って日系人であることを主張することを避けてきた▼加えて「政治は汚い」「政治家は信用できない」から協力しないという声はよく聞くが、それでも政治家が必要であることは間違いがない。必要ならば、より理想的な倫理感のある人に任せたいという気持ちが生まれて来るのは必然だろう▼文協、援協、県連、アリアンサとも会長は二世の時代であり、百周年であれだけ一般社会から祝われたことで、今まで控えめだった二世層が積極的に主張するようになってきたようだ▼勤勉・まじめとの日系人イメージの裏側には、「控えめ」「主張が弱い」という部分がつきまとう。昨年10月の百周年評価シンポでグローボTVのサンパウロ編集局長が、「カメラの前に立つ現地レポーターに日系人が少ない理由」を質問され、まさにその点を挙げていた。でも、不思議なことに昨年末から同局のニュースに、明らかに日系レポーターが目につくようになった。その質問を「批判」と受けとめ、向き不向きを改めて試しているのかもしれない▼二世世代なら、ブラジル人として正当な主張はきちんとすべきだ。まして個人でなくコムニダーデの意見として出した場合、一般社会に一定の影響力はある。グローボの一例はそれを示しているのだろう。(深)