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ノロエステ連合=百周年記念史を刊行=「最後の日本語による歴史」

ニッケイ新聞 2010年3月13日付け

 ノロエステ連合日伯文化協会(白石一資会長)は今年1月、百周年事業として取り組んできた『ノロエステ記念史』(314ページ、カラー、2千部)を刊行した。レアル銀行が出版費用を負担した。
 白石会長(75、二世)と編纂・取材に取り組んだ安永信一さん(62、三世)が11日に来社、「4年かかったが、何とかノロエステの歴史を残すことが出来そうです」と安心した面持ちを見せた。 
 ノロエステ地方は〃移民のふるさと〃と呼ばれ、戦前に日本移民が多く入植した。同連合には30の文協が加盟し、現在も活発な活動を続けている。
 ノロエステ全域の記念史としては、日本移民85周年のおりに作られたものから、15年ぶり。
 各移住地や文協の歴史や寄稿文、写真をふんだんに盛り込んだ。08年に各地であった百周年事業にも多くのページが割かれている。
 日ポ両語のほかに振り仮名(ルビ)が振られているのが特徴的だ。
 「いずれポ語だけになるのでしょうが、百周年までは日本語にこだわりたかった」と白石会長。「漢字の苦手な準二世や二世でも『日本語で読みたい』っていう人も多いんですよ」と安永さんが引取る。戦前、日本語教育の盛んだった同地ならではのニーズだ。
 「一番困ったのは資料や写真の収集。家まで出向いて、写真をスキャナーしました」。白石会長との二人三脚で「ノロエステ全域を3回は回った」と笑う。
 すでに傘下文協には配布。「喜んでもらえている。またこれを参考に数十年後に記念史を作ってもらえれば」と白石会長は満足気な表情を見せた。
 希望者には10レアルで販売している。詳しくはノロエステ連合事務局(18・3623・1634)まで。