運転中のメッセージ増加=飲酒運転より怖い携帯電話=法規制なく啓蒙活動が頼り
ニッケイ新聞 2010年3月16日付け
車運転時に携帯電話で話していて罰金を科せられた人は多いが、最近は運転中にSMSと呼ばれるメッセージをやり取りする人が増加と14日付フォーリャ紙が報じた。
運転中に電話が鳴り、出ようとした途端に運転を誤ったという事故が頻発し、運転中の携帯電話使用は禁じられたが、通話行為で罰金を科せられたため、SMSに切り替え、「通話するより簡単さ」と言う青年の実例に見られる様に、SMSは危険との認識のない人が多いのも事実だ。
この実態を懸念する1人が、ブラジル運輸医療協会(Abramet)理事のファビオ・ラシー氏で、SMSを交換しながらの運転は、携帯電話の画面に目を向ける時間が長くなり、通話しながらの運転や、飲酒運転より危険だという。
米国では、08年に6千人の死者を生じさせたSMS交換を重視。各州での取組みを進めた結果、現在は20州でSMS交換をしながらの運転を規制する条例が整備され、他州でも同様の取組みが進められている。
ところが、ブラジルの交通法では、運転中の携帯電話使用は禁止され、違反者の検挙数も08年から09年に22%も増えたというが、その内の何件がSMS絡みかの検証はされていないという。
専門家の中からは、SMSに特化された条例制定の必要性を説く人も出ているが、現実には、取締りが困難で、運転者一人一人の自覚を促すのが最良の方法だという。
08年12月のクワットロ・ローダスという雑誌記載の実験によれば、携帯での通話中の反応時間は50%遅く、違反件数も50%増える上、事故発生率は3倍とある一方、SMS通信中の反応時間は、血中アルコール量80ミリグラムの人の3倍も遅く、正常な運転者と比べ91%も悪い結果の被験者の例もある。
コップの水を飲むとかラジオのチューニングをするには4秒、電話番号を押すには5秒かかるのが平均だが、時速50キロの車は5秒で70メートル走る。まして、小さな画面に集中して文字を打ち込むSMS交換がどれ程危険かは推測出来る筈。運転中は電源を切るのが事故防止最善策との忠告に傾聴し、具体的法整備を待ちたいものだ。