ニッケイ新聞 2010年3月17日付け
サンパウロ州オザスコで12日未明、風刺がきき、ユーモアもある漫画や似顔絵で有名なグラウコ・ヴィラス・ボアス氏(53)と息子ラオニ氏(25)が殺害された事件の容疑者、カルロス・エドゥアルド・S・ヌーネス(24)が、14日夜、フォス・ド・イグアスで逮捕され、グラウコ父子殺害を認める供述を行った。
12日~16日のサイトや伯字紙によると、同容疑者は、サントダイメと呼ばれる宗教に属し、グラウコ氏創立の〃マリアの空〃と呼ばれる教会に出入りした事があり、被害者達と顔見知りの学生で、大麻使用者だ。
14日朝、サンパウロ市西部で乗用車を強奪、パラグアイへの脱出を企てたヌーネスは、同夜、パラナ州サンタテレジーニャの検問突破。その1時間後、〃友情の橋〃の検問を突破しようとして警官にも発砲したが、取り押さえられたという。
警官一人を負傷させた後、フォス・ド・イグアスの連邦警察に連行されたヌーネスは、報道陣などからの質問に、グラウコ父子殺害の実行犯は自分と返答。連警では、グラウコ父子殺害事件捜査はオザスコ市警の管轄とし、尋問は16日朝現地入りしたヴェラス・ジュニオル警部に託す。
同容疑者への尋問は、14日の尋問後釈放されたフェリッペ・デ・O・イアシ(23)の事件への関与の度合い判断と起訴の有無を決める鍵だ。
と言うのは、イアシ容疑者が、事件当日、ヌーネスを現場に連れて行ったのは武器で脅されたからで、グラウコ氏らの殺害は、現場から逃げた後と供述しているため。
グラウコ氏遺族らは、同容疑者は現場におり、ヌーネスを乗せて逃亡した筈と供述。現場まで来たものの事件には直接関与しなかったとされる別の学生も、二人は一緒に逃亡と証言するなど、矛盾が指摘されていた。
〃再臨のキリスト〃を名乗り、事件当日も自分の母親にその事を証言しろと命じたヌーネスは、「自分が行くから女性には手を出すな」となだめたグラウコ氏に暴行。その直後帰宅し、頭から血を流している父親に銃を突きつけるヌーネスに抗議しようとしたラオニ氏とグラウコ氏は、凶弾を4発ずつ浴び死亡した。