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中央銀行=政策金利は据え置き=財政問題は4月へ先送り

ニッケイ新聞 2010年3月19日付け

 中央銀行の通貨委員会(Copom)は17日、政策金利(Selic)を年8・75%に据え置くことを決定と18日付けエスタード紙が報じた。決定は8票のうち3票が、0・5%増の9・25%を投じ、4月の調整が予想される。
 これは、インフレに対する見方の拮抗を意味していると、経済評論家のミング氏がいう。1年以上も沈静していたインフレが、目覚めた。これは需給の法則によるものではなく、雨季の過剰降雨やコモディティ市場の相場が響いたのだ。
 中銀は通貨政策の変更を、しばらく様子見としている。金利の据え置きには、大統領選挙への配慮もある。またインフレの脅威は、選挙と重なる可能性もある。選挙を考慮した調整率も、4月への宿題としている。
 通貨政策に政治的配慮が加味されるのは不都合だが、中銀も宮仕えとしてやむを得ないようだ。通貨政策はインフレ抑制の道具なのか、財政政策の手段なのか迷うが、高金利政策は無難な方法であったようだ。
 体に沁みる薬は、効くという。高金利の痛みは、6カ月から9カ月耐えたあとで市場の効果が見える。どっちにしても痛みを伴う治療の後で、ブラジル経済は体力を獲得するようだ。
 中銀は今年の経済成長率が、政策金利の影響を受けることなく、6%と設定している。4月に金融引き締めを行っても、雇用への影響はないと中銀は見ている。
 主要新興国の通貨政策は、世界経済が不透明なので輸入をベースに行われると予想される。
 ミング氏はルーラ政権が几帳面な財政政策を維持するなら、4月といえども政策金利の引き上げは無用という。ところが政府の公共経費が今年、昨年同期比で17%も急増したので、中銀は憎まれ役を余儀なくされる。