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伯大統領中東訪問=アモリン外相をシリアへ=和平交渉に第一歩=ブラジル方式で始動へ=人類最大の難問へ挑戦

ニッケイ新聞 2010年3月20日付け

 ルーラ大統領は18日、中東訪問の最終段階でイスラエルのペレス大統領からの依頼を受け、アモリン外相をイランとの対話へ備え、同国の同盟国シリアへ派遣と19日付けフォーリャ紙が報じた。シリアからイランへ建設的な圧力を掛け、ブラジルの中東和平交渉への足がかりとする、ブラジル政府の考えのようだ。イランの核開発計画に対する欧米諸国の疑問を和らげるには、ブラジルのイラン説得だけでは困難であることを大統領は認識していたという。

 アモリン外相のシリア訪問は、電光石火の布石であった。中東問題を解決するには、シリアが重要な役割を果たすと、ルーラ大統領は見ている。欧米諸国は、それを見落としていた。
 中東和平の推進には関係諸国が代表を送り、解決に向けた意見を提示し、相互間の距離を縮める必要があると、ルーラ大統領がいう。
 シリアのアサド大統領とアモリン外相の会談は、閉塞状態のイスラエルとイランの関係に、いかにして雪解け期を迎えるかに集中した。 
 シリア政府も、イラン問題へ影響力を及ぼすことに関心を持っていたと表明。中東和平は、関係諸国に柔軟性を求める。それには、シリアの鶴の一声がものをいう。 
 ブラジルはイランの核開発が平和目的というが、限度の歯止めを心配していた。米政府のイラン制裁に代わり、シリアがイランの核開発で歯止めとなることに、ブラジルは賭けている。
 イランの平和目的の核開発に疑問を抱くのは、軍産複合体が国際情勢の緊張を煽るからだと大統領は見ている。世界は平和を求めているのに、武器を売るために戦争の火種をつくる国もある。
 イスラエル議会が与野党こぞって、ルーラ大統領のイラン訪問を批判し同国の孤立化を求めた。ルーラ大統領は、平和とは反対に戦争を好む国を告発できないが、イランを悪者にするのは見当違いだと訴えた。
 中東和平交渉にブラジルが一枚噛んだことで、イスラエルやパレスチナ、シリア、ヨルダンが前向きに取り組む言質を得たとアモリン外相が述べた。ブラジルは、中東和平に足がかりを得た。
 アサド大統領は、イスラエルとの対話を容認したことで、心の準備はできたと外相がいう。双方が同席して対話をするのに2千年を要したので、30分で合意に至るのは無理と見ている。