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大きなツケ払うのは誰?=「世界水の日」に考える=地球が悲鳴、水不足も目前

ニッケイ新聞 2010年3月23日付け

 「世界水の日」の22日、水を意味する青いカバー掛けなど、新聞各紙も水に注意を向ける取組み。エスタード紙では、サンパウロ州やパラナ州、パンタナルなど、国内外の水に関する取組みや実態などの特集も掲載した。
 「世界水の日」は、92年6月にブラジル開催の地球サミット(環境と開発に関する国連会議)で採択された、21世紀へ向けての行動計画「アジェンダ21」で制定勧告されたもの。同年12月の国連総会本会議で、3月22日を「世界水の日」とすると決議された。
 地球上の水の内、氷の状態のものを除いた淡水は0・6%。その内、98%は地下水などの形で蓄えられ、河や湖の水はわずか2%だという。
 ところが、これら貴重な淡水が汚染された上、枯渇化するなど、深刻な問題が広がっている。
 水の消費は国の開発度と相関性があり、ブラジル国民一人当たりの水の消費は年1340立方メートルだが、米国では2500立方メートル。先進国での一人当たりの水の消費量は開発途上国の6倍だとさえいう。
 一方、化学肥料や農薬の使用が拡大し、化粧品などにもホルモン剤入り製品が増えるなど、土壌や水質を汚染する物質使用は増加の一方、下水処理基準は旧態依然だったりと、人間生活の基本ともいうべき水の安全を脅かす事態は急増。
 それに加え、水力発電所建設などで、生態系や住環境が壊され、絶滅の危機に直面する動植物増加といった事態も起きている。
 こういった現状に気付いて改革を進めている一例はパラナ州西部の農業関係者。化学肥料使用をやめ、有機栽培切り替えなどの工夫で生産性も向上し、健康も取り返した農家の談話なども収録。
 リオ州では、下水処理などに14億レアルを投じなければ、2015年から水不足に陥るとの報告など、水を巡る問題は国民生活を足元まで脅かすものとなっている。
 森林伐採による水源地枯渇化や、農薬や化学薬品による汚染、ダム建設に伴う環境破壊など、すぐに手を打たなければ、2025年以降飲み水も不足といわれる今、水の安全や水源地回復に従来以上に真剣な取組みが求められている。