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イザベラ事件の裁判開始=陪審員7人選出から始まる=望まれる真実解明と正義

ニッケイ新聞 2010年3月24日付け

 08年3月28日夜、サンパウロ市で起きたイザベラちゃん殺害事件の公判が22日から始まり、23日付伯字紙などが逐一報じている。過去10年で最も世間を騒がせた事件の一つとされる事件は、当時5歳のイザベラちゃんが実父と継母のアパートで何者かに首を絞められた後、窓から落とされて死亡したもの。
 車中で額に傷を負ったイザベラちゃんは、父親に抱えられてアパートに到着。その後、継母に首を絞められ、ぐったりした事に驚いた実父と継母が、幼女を窓から落とし、侵入者に投げ落とされたと触れ回ったというのが検察側の考えだ。
 実父らは無実だと言うが、警察は、ベッドに残るシネーロ(ゴム草履)跡などから、幼女を窓から落としたのは実父と判断。アパートの模型には、シーツや床に残る血痕なども記され、現場検証の様子を克明に物語る。
 一方、弁護側は、証拠不十分を理由に再度の現場検証を請求し、公判引き延ばしを図ったが、裁判官はこの請求を拒否、14時17分から陪審員と証人選出が始まった。
 ブラジルの殺人事件などでは、日本の裁判員制度に似た陪審裁判が通例。今回の公判も、通知を受けた40人中27人がサンパウロ市の裁判所に出頭。男性3人、女性7人を陪審員に選出後、イザベラちゃんの母アナ・カロリーナ・オリヴェイラさんら16人(検察側2人、弁護側11人、両者共通3人)が証人に選ばれた。
 22日にはアナ・カロリーナさん、23日は捜査担当の警部など、検察側と弁護側証人証言後、被告人個別喚問がある。
 その後、検察側と弁護側の論告。陪審員が有罪か無罪か判断出来る時点で評決し、裁判官による判決宣告となる。
 女性陪審員が多い今回の公判は検察側有利の見方が多いが、18歳以上の国民から選ばれた陪審員が裁判に参加する制度は、民意反映と同時に、法に不慣れな人参加で、法執行に際する公正さへの疑問などもある。
 裁判所前には傍聴希望者が列をなし、遺族支援者が「正義を」と書いた横断幕を掲げる中で続く裁判。22日には、感情は殺して公正な判断をと言われていた陪審員の一人が、実母が涙ながらに証言する姿にもらい泣きする姿も見られた。