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援協総合診療所=ドトール南の『薬講座』=正しい知識で健康を!=(6)

ニッケイ新聞 2010年3月24日付け

 就寝前服用とは、夜の眠る前に薬を服用することを示します。特に睡眠剤、もしくは精神安定剤を使用する場合、それ以外としては、抗アレルギー薬、鼻血散薬(デスコンゼスチオナンテ)など、副作用として眠気をもたらす傾向の薬は、就寝前服用に適当とされています。
 また、6、8や12時間おきに服用と示されているのは、抗生物質を血液中一定に保つ目的での服用法なのです。この時間配分は、真夜中に起きて薬を飲む必要はなく、仕事などの時間関係に応じて、もちろん医師と相談の上で服用時間を再検討してもよいのです。ただ、ここで一番重要なのは、主に抗生物質薬の有効時間が、完全に病気に対して持続していることです。

「薬の服用を忘れた場合はどうしますか?」
 主に、薬の飲み忘れは、記憶が定かでない、独り暮らしをしているお年寄りの方々に起きやすい出来事です。慢性病の保有者や自覚症状を無くした方などが薬を飲み忘れると病気が悪化し、死に至るまでの危険な状態を引き起こします。逆に、自覚症があると腰痛や腹痛などに敏感で、意外と薬を服用するのは忘れません。

「それでは、どの様にしたら薬の飲み忘れを防げるのでしょうか」
 よく考えてみますと、食前、食後と就寝前などに決められた服用法は、それなりの記憶法ではないでしょうか?
 たとえば、テーブルに座る前に食前服用剤などを取ってくるのも、忘れない一つの方法ではないでしょうか。
 もしくは、歯磨きの前に服用するとか。
 また、1週間分、朝昼晩に仕切った薬ケースを、常に持ち歩いてはいかがでしょうか。
 それでも飲み忘れたとしても、その飲み忘れた薬によります。
 たとえば、鎮痛剤、抗炎症剤や抗掻痒剤などを飲み忘れた場合でしたら、思い出せなくても構いません。
 ただし、降血圧剤、心臓系薬剤や糖尿病などのような代謝障害などの難治病は、病気を治すのが目的ではなく、ただ、一時的な症候を改善し、症状の悪化を防ぐのが目的の薬です。そのため、決して忘れないように注意し、適切な措置を講じなければなりません。もし飲み忘れたら、最良の手段は、かかりつけのお医者さんに電話して相談することです。
 それが不可能でしたら、次のような手段を取りましょう。
 摂取予定時間からそれほど過ぎていない場合は、薬を服用すること。
 もし、服用時間が過ぎて、次の服用時間の直前でしたら、忘れた分は退けて次の時間から正しく始めることです。
 もし、迷った場合には、薬の説明書をよく読み、疑問点を晴らすことです。
 薬は欠かさず、忘れず、医師の処方箋の方針決定に従って服用することです。
 それは、医師は薬が作用しているか、いないかと、また薬物を正しく使っているかとの判断で治療の効果を見積もるからです。
 もし、処方箋通り薬を服用せず期待すべき結果を得ない場合は、薬の処方が合っていないか、薬品の使用量が不適当ではないかと医師は判断し、薬を取り換え、または使用量を増やすことになって、強い副作用などを招く恐れが出てきます。(つづく)