ニッケイ新聞 2010年3月25日付け
元民主党(DEM)員のアルーダ知事解任や複数政党に属する区議会議員告発など、行政と立法中心に捜査中だった連邦直轄区(DF)汚職事件「DEM党メンサロン」の捜査進展のため、国家検察審議会(CNMP)がDF検察局の内部捜査に介入と24日付エスタード紙が報じた。
09年11月に連邦警察実施の「パンドラの箱作戦」は、当時のDF渉外局長、ドゥルヴァウ・バルボーザ氏録画のビデオを基に、知事や議員、企業家らが絡んだ贈収賄事件を摘発したもの。
ビデオ収録の会話や金銭授受の映像は連日の様に国内メディアを賑わしたが、今回のCNMPの捜査介入は、DF検察局の要であるレオナルド・バンダーラ主任判事を直撃する可能性がある。
バルボーザ元局長によれば、同判事はDF政府が入札もなく行った清掃業者との契約黙認の上、契約の保証役も務めた事で160万レアルの報酬を得たという。
この件に関してはDFの検察官二人が業者絡みの文書調査を試みたが、バンダーラ判事が仕切る検察局審議会が調査差し止め命令を出し、判事らがCNMPに差し止め無効を申し入れた。これに対し、CNMPは22日に調査権を付与した。
また、翌23日のCNMP会議では、同判事絡みの事件の捜査権を、DF当局からCNMPに移す事を協議。12月の調査委員会設置後も、DF当局の捜査が終らず、何の進展もない事に業を煮やしたもの。
DFでは今も、アルーダ知事とバンダーラ判事との合意の下で07年に契約を結んだ清掃業者7社が6600万レアルを受け取っており、CNMPは、当局の捜査の遅れと、事実解明もされずに闇から闇に葬られる事を懸念している。
バンダーナ判事はCNMP介入の件は知らされてないというが、DF検察局の屋台骨を揺るがす事にもなりかねない進展に、DF三権の不安定感はいや増している。
民主社会党(PSDB)のセーラサンパウロ州知事が大統領選出馬の折には、副大統領候補とも目されていたアルーダ知事を解任に追い込み、PSDBとDEMの連携を危うくするとまで見られたDFのメンサロン事件が新しい局面を迎えそうだ。