ニッケイ新聞 2010年3月27日付け
やっぱりあった? 巨額の国外隠し口座――。25日付けフォーリャ紙がサルネイ家の国外隠し口座疑惑をいち早く報じ、その報道を禁じられ検閲を受けているエスタ―ド紙も「フォーリャ紙によれば」と同件を報じるなど、伯字メディアは一斉に飛びついている。これはサルネイ上院議長(PMDB)の長男フェルナンド氏がスイスに持っていたとされる隠し口座で金額はなんと1300万ドル・・・。現地政府が発見したもので、すぐに凍結された。
フォーリャ紙は、スイス政府はフェルナンド氏が管理運営する口座を発見、凍結し、「この資金はブラジルの国税庁に届けられていない」と大々的に伝えた。同資金を動かす会社は、フェルナンド氏のみによって経営されるマラニョン州にある家族企業だという。
しかも同紙は今月初め、中国政府が同氏の口座の存在を確認し、カリブから中国山東省青島の口座へと08年に100万ドルも送金したことをブラジル政府に伝えたと報じたばかり。書類は本人によって署名されており、「ブラジル官憲は何のための送金かまったく知らされていない」と報道する。
スイス口座の凍結は、連邦警察と公安庁が協同するオペラソン・ファクトロル(元Boi Barrica)の賜物。企業取引に見せかけて、フェルナンド氏が同口座から、オーストラリアとの間にある脱税天国との異名を持つリヒテンシュタイン公国に送金しようとしたところをスイス政府に止められた。同紙の取材にフェルナンド氏は「関知しないことはしゃべれない」とコメントしている。
一方、フェルナンド氏が昨年訴え、国外口座疑惑に関して記事掲載禁止判決が出されているエスタ―ド紙も翌26日付けで、前紙の記事を紹介する異例の形で報じた。昨年末、同氏は示談による告発取り下げを打診したが、エスタード紙はそれを拒否し、司法による最終判断を待っている。
エスタード紙は独自にスイスのドリス・ロイタルト副大統領兼経済相に取材し、同疑惑に関して「金持ち、貧乏人、有名、無名は関係ない。スイスでは平等に扱う」とのコメントをとった。
ジャーナリズム専門のポルタル・インプレンサ・サイト25日付けは、サルネイ上院議長は24日の同議会で、マスコミの表現の自由を擁護しつつも「二面性がある」と演説した。議会の内容を国民に伝える重要な役割を果たしていることを認めつつも、「憲法が保証する表現の自由は守るべきだが、あまりにも人工的に告発をねつ造し、政争の具になるのはやり過ぎである」との考えを披露している。
また同通信は、バンジTV局の番組「カナル・リブレ」の取材に応えた同議長は、「息子の行動に干渉はしていない。もし訴訟に関して相談されていたら、彼の判断に反対しただろう」などと述べたことも伝えている。