イザベラ事件公判結審へ=鑑定人らは有罪確信し証言=手足もがれた弁護人は?
ニッケイ新聞 2010年3月27日付け
22日に始まったイザベラちゃん殺害事件公判も最終日を迎え、事件からほぼ2年経つ26日に有罪か無罪かが決まる。
婦女子への犯罪には特別厳しい目を向ける国だけに、5歳女児が実父と継母に暴行された上、6階の窓から投げ落とされて死んだかも知れないという事件は衆目を集め、各種メディアも公判前から連日報道中だ。
08年3月29日夜、車の中で眠ったイザベラちゃんを抱いた実父が先にアパートに行き、ベッドに寝かせつけてから車に戻ったが、継母と共に年少の子供二人を抱いてアパートに戻るまでの間に侵入した誰かが、イザベラちゃんを窓から投げ落としたというのが実父達が語った顛末だ。
ところが、捜査が進むうち、イザベラちゃんは、窓から投げ落とされる前に何度かの暴行を受けた跡がある事が判明。
アパートの入り口から点々と続く血の跡や、床に投げ出されたためと見られる骨折、首を絞められた跡、実父のシャツに残る防護網の跡などの物証を前に、担当警部らは、車中でのケガで出血していたイザベラちゃんは、抱かれてアパートに連れてこられ、床に投げ出された後、継母に首を絞められ、実父により窓から落とされたと結論するに至った。
22日には、実母のアナ・C・オリヴェイラさんは、読み書きを覚えたがっていたイザベラちゃんを学校に入れた事に反対した実父が、彼女やその母親を殺すと脅した事や、継母は実母やイザベラちゃんに対して嫉妬していた事、実父も継母も感情の抑制が利かなくなるところがある事などを、涙ながらに証言。
23日は捜査担当の警部、24日は鑑定人らが証言に立ち、実父達の犯行だと確信しての証言が繰り広げられた。
一方、25日に行われた被告人への個別喚問では、警官は自白を強要したが自分達は無実だとの訴えが繰り返されだが、実父と継母の供述が食い違い、弁護にほころびを呈する場面も。同日予定されていた実母と被告人が対面しての供述は、22日から隔絶状態に置かれていたアナさんが極度のストレスと疲れで体調を崩し、中止となった。
傍聴希望者が90人を超えた結審日は、検察官と弁護人が交互に論告を繰り返した後、7人の陪審員が有罪か無罪かを決める。陪審員の結論が出、裁判官が判決宣告を行うのは27日未明となる見込みだ。
有罪なら、無抵抗の子供を殺し、証拠隠滅も図ったとして、30年以上の刑になる可能性もある同事件。結審前から、尊属殺人となる実父の刑は更に重くなる、服役場所はこれまで収監されていたトレメンバー刑務所との情報まで流れている。