実父と継母に有罪判決=正義はなったと語る実母=イザベラちゃん偲ぶ祭壇も
ニッケイ新聞 2010年3月30日付け
正義はなったが、娘は帰らない―22日の証言直後から被告弁護人の要請で25日まで隔絶状態で置かれたため、極度の緊張で体調を崩し、26日は自宅待機したアナ・カロリーナ・オリヴェイラさんが27日に語った言葉だ。
27、28日付伯字紙によれば、08年3月29日夜発生し、27日未明結審となった当時5歳のイザベラちゃん殺害事件は、陪審員が有罪と判断し、実父アレッサンドレ・ナルドニに31年1カ月と10日、継母アナ・カロリーナ・ジェトバに26年8カ月の刑が言い渡された。
感情と科学技術の対決ともいわれた同事件は、最後まで無実を訴える被告側と、最新技術も用いた現場検証結果などを駆使し、犯行は動かぬ事実だと実証していく検察の応酬後、結審となった。
最終日には、車のエンジン停止時間や電話をかけた時間など、同夜の状況を分刻みで説明した検察官。一方、弁護人は、床の血を拭取ったとされるオムツや父親のシャツの汚れ鑑定に関する疑問提示や、幼女の首を絞めたと言いながら被告の爪の中の細胞採集不履行、窓の防護網にあった髪の毛のDNA鑑定もしてないなどの現場検証の不備追及などに終り、時には言葉を探す様子だった。
陪審員には、確信に満ちた論告や動かし難い証拠の提示が判断材料となるが、今回の事件では、パラー州からの人も裁判所前で宣告を待つなど、国中が注目し、大勢が検察側の見方を支持していた事の影響も大きい。
被告弁護人が裁判所前にいた人々に暴行されたり、判決と共に花火が打ち上げられたりした事も、世間一般の見方を反映したもの。量刑も、冷酷、被害者が子供、被害者に自己防衛の可能性がない状況で殺害の理由で一般殺人より重く、父親には娘殺し(尊属殺人)による増刑もあった。証拠隠滅については、二人ともセミアベルトで8カ月の刑が言い渡された。
ブラジル法規では、刑期の5分の2が過ぎれば、セミアベルト(週日の昼間は刑務所外で仕事し、夜及び週末は刑務所で過ごす)の形の服役が認められるため、継母は9年が過ぎたら、実父も11年が過ぎたら、日中は刑務所外で過ごす事が可能となる。弁護人は既に上告しているが、次の陪審裁判の日程は未定だ。