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アルキミン優位のサンパウロ州知事選=メルカダンテが転覆狙う=ほぼ確実な上議選を捨て=ルーラ支援で軌道に乗るか

ニッケイ新聞 2010年4月6日付け

 10月3日の統一選挙でサンパウロ州知事選に出馬が予定されている民主社会党(PSDB)のジェラルド・アルキミン氏(元同知事)の対抗馬として、労働者党(PT)のアロイジオ・メルカダンテ氏(上議)の出馬が確実となり、それぞれの思惑を胸に具体的な準備態勢を固め始めたと3日エスタード紙が報じた。

 アルキミン氏の知事選出馬は、セーラ氏の大統領選出馬とともにかなり前から既成の事実のように扱われていたが、対する他党候補については、様々な思惑が行き交い、PT候補もやっと確定した状態だ。
 ルーラ大統領の意向を受けたシロ・ゴーメス氏の出馬か、それとも自党候補かで揺れていたPTにしてみれば、シロ・ゴーメス氏があくまでも大統領選にこだわった辺りから既に誤算といえそうだが、自党候補を立てるに際しても、マルタ元サンパウロ市長やエドゥワルド・スプリシー上議などの声もあったPT。
 上議選での再選がほぼ確実と見られていたメルカダンテ氏にしてみれば、落選した場合は2011年以降しばしなりを潜めることになる知事選出馬は、かなりのリスクを伴う。
 加えてルーラ政権の間に、大臣職にあったPT執行部の面々は、マスコミに疑惑を次々に暴かれて死屍累々となっている中で、潔癖なイメージを保ってきた数少ない大物政治家だ。ここで注目の集まるサンパウロ州知事に出馬することで、痛くない腹を探られるのではという危機感もあるようだ。
 3月29日付フォーリャ・オンラインなどが報じた様に、初回ダッタフォーリャ調査でのアルキミン氏の支持率は、既に50%超。社会党(PSB)のパウロ・スカフ氏の出馬の有無により、同氏の支持率に53%か52%かの差があるものの、メルカダンテ氏と、進歩党(PP)セルソ・ルッソマノ氏の支持率は、いずれの場合も13%と10%。
 この劣勢を跳ね返すため、メルカダンテ氏が取り付けたのが、ルーラ大統領の支援の約束。ジウマ氏応援のためのサンパウロ州訪問時以外にも、ラジオやテレビ、選挙演説での積極的支援を求めた同氏は、教育や治安、インフラ充実を前面に出して、知事選に臨む構えだ。
 一方、10日のPSDBと民主党(DEM)社会大衆党(PPS)合同会合でセーラ氏が大統領選候補として指名されるまで、表立った動きは避けるというアルキミン氏。復活祭後は、現状を見聞きし、問題を知ると同時に、セーラ氏支持を募るため、州内陸部を訪問し、各地域の市長や市民運動組織代表者らに会う予定だ。
 「政治は希望であり信頼だ」というアルキミン氏に対し、背水の陣を引く形となったメルカダンテ氏らの他党候補。各々が選挙参謀を決め、選挙公約作りや組織固めを急ぐ段階に入っている。