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リオ洪水=79人死亡、87人負傷の大災害=現地観測史上初の豪雨=大統領「W杯や五輪は別」=被害拡大の恐れも

ニッケイ新聞 2010年4月7日付け

 一晩で79人(6日午後3時現在)が死亡するという痛ましい洪水被害が、大リオ都市圏を中心に発生したとブラジルメディアが一斉に報じている。6日午前、地元グローボTV局は通常番組を中止して特別災害放送に切り替えた。R7サイトにある消防士の情報によれば、リオ市内だけで44人が死亡しており、大リオ都市圏まで入れれば79人、負傷者は87人にも登る。5日(月曜)晩から降り始めた雨は夜半に強さを増して6日も降り続き、刻々と被害が拡大しており、将来のサッカーW杯や五輪への課題を突きつけている。

 6日昼12時45分のテーラサイトによれば、24時間足らずで288ミリもの豪雨は1966年から始まったリオ市観測史上初。エドゥアルド・パイス市長は「1万人が危険地区で生活している。崖崩れなどが予想されるこの地区に居続けることは自殺するに等しい」と記者会見で発表し、「できる限り、最寄りの避難所や、安全な地区にある親戚友人宅に逃げてほしい」と呼びかけた。
 場所によっては12時間以内に300ミリを超えたとの報道もある。通常なら4月1カ月間の降雨量はわずか140ミリであり、今回は一晩でそれを超え、しかもまだ降り続いている。7日もしくは8日まで続く可能性すら指摘されている。
 6日付けオ・ジア紙によれば、同市長は「市内の交通が洪水によって混乱状態にある。極力家を出ないでほしい。子供を連れて学校にいくのは、できるだけ避けて」と語っている。リオ市の公立校は6日の授業は急きょ中止になった。
 最も被害が集中しているのはサンタテレーザのモーロ・ドス・プラゼーレスで12人の死亡が確認され、あと15人が行方不明。リオ州防災責任者のセルジオ・シモンエス大佐は「現在分かっている崖崩れ被災地は180カ所だが、どんどん増えている」と被害はさらに拡大するという。
 またイーリャ・デ・ゴベルナドールのジェキア川地区では、家屋崩壊の危険のある地区から、消防隊が住民を強制退去させている。
 グローボ・サイトによれば、セルジオ・カブラル州知事は「大災害」と位置づけ、「事実上、死亡者の大半が危険地区に居続けた人。できるかぎり安全な場所へ避難して欲しい」と語った。
 加えて、月曜晩からリオに滞在していたルーラ大統領も不法占拠地区の住民を批判し、「これは、サッカーW杯や五輪の間に同様の問題が起きる予兆ではない」と強く否定。上下水道や道路などの都市基幹設備への投資を増やし、ファベーラの正規市街化を進めていることを協調した。
 しかし、現時点ではまだこの点が脆弱であり、国際大イベントを成功させるための大きな課題でもあることは、今回改めて浮き彫りにされた格好だ。