ニッケイ新聞 2010年4月7日付け
サンパウロ州の統計によると、サンパウロ市の少子高齢化は全国平均より速く進み、2024年に60歳以上の人の数が14歳以下の子供の数を超えると4日付エスタード紙が報じた。
過去10年で高齢者が35%増え130万人になったサンパウロ市では、24年の高齢者は220万人に達し、14歳以下の213万人を超えるという。
これは、平均寿命の延びなどの高齢化と少子化傾向との抱き合わせ現象。同紙によれば、14歳以下の子供減少は2011年から始まり、11年の子供総数は現在より20万人減の263万人と見られている。
2008~2010年の高齢者増加は、ヴァーレ・ド・リベイラ42・4%、バイシャーダ・サンチスタ53・6%、ヴァーレ・ド・パライバ75・0%の予想だが、これは全国的な傾向だ。
例えば、1月3日付エスタード紙の〃人口ボーナス〃に関する記事では、14歳以下の子供と65歳以上の高齢者の人口比率を記載。高齢者の基準が4日付記事の60歳と多少異なるものの、1950年に40%超を記録した子供の人口比率は、1965年に減り始め、2000年には人口比30%以下となった。
一方、50年には僅か数%だった高齢者の比率は徐々に上がり、2020年に人口比10%に達する見込みで、2035年からは、高齢者の比率が子供の比率を上回ると予想されている。
ここでいう〃人口ボーナス〃との言葉は、高齢者や子供の数が相対的に減り、働き盛りの生産年齢人口が相対的に増えると、高齢者や子供の扶養負担が減り、生産活動が活発になる事を意味するもの。子供と高齢者の総計で15~64歳の人の数を割って2以上だと経済成長力が強くなる。
2010年のブラジルは、子供と高齢者の総計が人口比32・4%。67・6%となる生産年齢人口は2倍以上で人口ボーナス期。今後の少子高齢化の進み具合次第だが、この傾向は2040年頃まで続くという。
人口ボーナスの逆は、少子高齢化で国全体の生産性が低下、経済成長率も低くなる人口オーヌスで、日本などは1990年代からオーヌス期。
現在はラ米でも有数の経済都市、サンパウロ市が全国に先駆けてオーヌス期入りする事も示唆する報道だけに、経済力を謳歌できるこの時期からの福祉政策充実などが望まれる。