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本門仏立宗=初の非日系教区長が誕生!=15代目にコレイア教伯さん=「あんたでも救えると言われた」=機関誌「LOTUS」編集長も兼任

ニッケイ新聞 2010年4月8日付け

 本門仏立宗に初のブラジル人教区長が誕生―! 第1回移民船「笠戸丸」に乗り込んだ茨木友次郎(日水上人、1886~1971)の来伯で102年の歴史を歩んできたブラジル本門仏立宗。全伯11カ寺、1万信者を束ねる15代目教区長にコレイア教伯さん(42、サンパウロ)が今年1月に就任、今月6日にあいさつのため来社した。アジア、欧米、南米各地に教区を持つ同宗だが、非日系人の教区長は過去に例がないという。

 「あんたでも救える、と言われまして。実際救われましたね」。
 関西訛りの流暢な日本語で仏の道を選んだ理由を語る。今年1月の選挙で本門仏立宗初の非日系人教区長に選ばれた。
 子供の頃から聖職者になりたかった。憧れの職業は医者だったが、7歳の時、患者が見離される姿を見た。
 「医療に見離された人を助けたいー」。自然に宗教に目が向いた。
 「カトリックもプロテスタントも試しましたが、あんたみたいなのは駄目と言われまして」と冗談めかす。
 そんなおり、64年に来伯した18代講有西村日地上人と出会い、「仏教は誰でも、あんたでも救われる」と言われ、関心を持った。当時、同宗で必要だった日本語を2年間学び、「9歳で入門を許されました」。
 海外布教の重要さを感じた日地上人は75年から、日本への留学制度を始める。
 熱心な信仰と勉強ぶりが認められたコレイアさんも83年、15歳で奈良県一条高校に留学。卒業後は、京都の仏教大学文学部に進学した。
 「日本で苦労したことは何もありません。周りに苦労かけさせただけです」と控えめだ。
 日本女性と結婚し、93年に帰国。パラナ州クリチーバで15年間布教活動に励んだ。
 「ブラジル人として、今回初めて私が教区長にさせてもらった。西村先生の先見性が実を結んだということでしょうか」と微笑む。
 「僧侶の数は非日系人の方が多いですが、逆にもっと日本語や日本文化は大事に保たれているんですよ」と1世紀を経た同宗の状況を語る。
 仏教機関誌としては最古ともいわれる「LOTUS」の編集長も務める。「これからも開祖の教え、気持ちを伝えていきたい」と穏やかな表情を引締めた。
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 法華系の本門佛立宗は1857年、長松清風(日扇上人)が開いた本門佛立講が起源。
 ブラジル布教は、皇国植民社長、水野龍が信者だった同宗清雄寺の日教上人を通じ茨木友次郎(日水上人)が第1回移民船「笠戸丸」で来伯したことで始まる。
 ズモン耕地から各地を経て、36年、ウニオン植民地(サンパウロ州グアイサラ)の松原米治氏の土地に最初の布教施設を建設。51年には、リンス市に最初の寺となる大宣寺を創建。現在は全伯11カ寺があり、信者数は約3千家族1万人。