ニッケイ新聞 2010年4月10日付け
【既報関連】来週15、16日にブラジリアで行われるBrics首脳会議(ブリックス=伯印露中)で、共同通貨創設(本面1日付けで詳報)が話し合われる件などに関し、9日付け伯字紙各紙が一斉に報道している。中でも中国の温家宝首相の来伯には、2国間協定も含めて注目が集まっている。
EFE通信1日付けによれば、中国外務省の秦剛(Qin Gang)報道官は「4カ国は発展途上国を助け、その声を代弁し、先進国との実践的な協力を推し進める会議となる」と述べ、加えて「08年の外国投資額である500億ドルの約半分は、資源確保のために南米に注がれている」と強調している。中国側の統計では南米との交易は1433億8700万ドルに達し、年率39・7%の成長ぶりだという。
今首脳会議の焦点の一つは中国市場を公認するかどうか。3月25、26日には伯亜の関係機関が、中国の輸出品が勢いを増して両国間の貿易が減少している現実を問題視し、中国製品抑制策が話し合われたばかり。南米隣国を優先するか、4カ国かという選択を迫られる場面もありそうだ。
会期中に伯中2カ国間協定への署名も予定されており、資源関係はもちろん、高速鉄道構想などの大規模プロジェクト、様々な場面に影響を及ぼす可能性もありそうだ。
一方、3月26日付けロイター通信によれば、4カ国の農務大臣がモスクワで行った準備会合では、4国の耕地面積の合計は全世界の3分の1を占め、「我々が力を合わせることで10億人を飢餓から救うことができる」との声明が出された。4カ国に世界の42%が住んでおり、食糧問題解決は主要議題の一つになる。
インド農務大臣のシャラド・パワ氏は「我々も一国では、グローバルな飢餓問題解決には微力しかないが、共同歩調をとることで国際社会に大きな協力ができる」と述べており、今回の首脳会議では、世界の飢餓問題根絶に関する話し合いも行われそうだ。
実際、4カ国で世界の小麦生産量の40%、豚肉の半分、牛肉と鶏肉の3分の1を生産している。4カ国の国内総生産を合計すれば世界の約15%に相当する。
例えば、ロシアが穀物や油を優先的に輸出する代わりにインドから鶏肉を輸入する、ロシアから小麦をブラジルに輸出する代わりに牛肉を入れるなど積極的かつ実践的な互恵関係を築くことを目標としている。
今回ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ大統領は、ブラジルのあとアルゼンチンを訪問する。08年11月に続いて2度目の公式訪問。ただし2日にはウラジミール・プーチン首相がベネズエラを電撃訪問しており、南米との接近は著しい。
今回2度目の公式訪問となる温首相は、12、13日に米国ワシントンで行われる、核テロや密輸に阻止を目的とする核安全保障サミットに出席したあと、ブラジルでの同首脳会議に参加する。その後、17、18日にベネズエラ、18日にチリを公式訪問する。