ニッケイ新聞 2010年4月14日付け
7日夜、リオ州ニテロイ市のゴミ埋立地だったファベーラの丘で土砂崩れが発生し、約200人が生き埋めになるという大惨事が起きたが、その後、10日付アゴーラ紙や13日付エスタード紙などが、各地ファベーラでの土砂崩れの危険を報道している。サンパウロ大都市圏でも、約1万7千人がゴミの埋立地だった場所で暮らしていると推定され、その危険が叫ばれている。
現在、特にその懸念が大きいのが、サントアンドレー市のエスピリトサント集住区、サンベルナルド・ド・カンポ市とジアデマ市の境に位置するジョアニーニャ農園の2つのファベーラだ。
ニテロイ市のファベーラ、モーロ・ド・ブンバの場合、以前はゴミ埋立地であり、腐敗したゴミから発生したメタンガスの爆発が土砂崩れの原因になったと判断されている。
今回、特に危険だと指摘された両ファベーラも、元はゴミ埋立地だった場所に作られたもので、ニテロイ市での災害発生前と同様、連日の豪雨で地面からはメタンガスの煙が立ち上っている状態だ。
約5600人が暮らすエスピリトサント集住区は、約10万平方メートル。サントアンドレー市がゴミの埋立地としての利用を停止した1987年以降から90年代前半にかけて、ファベーラができあがった。
地盤の緩みから住居の壁にはひびがはいり、雨水の浸入が報告されている。専門家は、「地盤はガスでできたプリン状」と切迫した状況を説明し、住民の間では「時限爆弾が爆発を待っているようだ」と、不安が広がる。同市は、こういった状況を受け、居住者の近隣の集合住宅地への移転を開始している。
ジョアニーニャ農園は現在2千以上の家屋が建てられ、5千人が居住する大規模なファベーラ。同地区では、すでにメタンガスの発生による爆発も目撃されている。
1971年から2001年までゴミの埋立地として利用されていた同地区では、その当時、毎日約700車のゴミ収集車がゴミを運んでいた。同地区は、以前から、腐敗物による地下水の汚染が心配されていた。
サンベルナルド市とジアデマ市の監視の下、特に危険な地帯から890家族の住居移転が行われており、現在避難したのは8家族、2011年7月までに完了する見込みだ。その後、同地は公園や工場としての利用が考慮されているという。
現在もモーロ・ド・ブンバでの捜索活動が続くニテロイ市では、13日15時現在の死者が162人に増加し、リオ州内の豪雨による死者は247人に上っている。