ニッケイ新聞 2010年4月16日付け
ブラジリアでのBRICs(伯露印中)首脳会議を目前にした14日、ブラジルと中国の企業22社が総額4億3200万ドルに上る大型合意の署名式を行ったと15日付エスタード紙が報じた。サンパウロ市で行なわれた署名式は、中国商務省の要請で伯中企業家審議会が開催したもので、中国商務省の蒋耀平次官も出席した。
14日夜の胡錦涛国家主席のブラジル到着を前に行われた式典では、合意書に署名するブラジル11社、中国11社の関係者他、胡錦涛主席に同行して来伯する中国企業65社の関係者らとの交渉を臨むブラジル企業273社の関係者も出席した。
出席者は、Valeやオデブレヒト、エンブラエルなどの大手企業に限らず、エネルギーや機械設備部門など、複数部門の中小企業も参加。国内での生産拠点建設を目指す中国の自動車メーカー1社の代表も同席した。
11日付伯字紙によれば、09年の貿易実績は、対中輸出が約202億ドル、輸入が約159億ドル。ブラジルにとり、輸出で1位、輸入で2位を占める中国との関係は、今後、益々重要度を増すと見られていた矢先の大型合意の発表だ。
最大規模の合意は、国内3位の鋼鉄メーカーCSNと中国のCISDIエンジェニャリアとの間で交わされた新施設への機材導入で、合意総額は2億8千万ドル。
大半は、両国企業が生産する製品の売買契約だが、11組の合意の中には、中国の通信会社ZTEからミナス州にある国立電気通信研究所へのシステム導入と指導に200万ドルなど、投資やサービス提供なども含まれている。
また、14日来伯の中国企業家達は16日に、リオ州サンジョアン・ダ・バーラにある、LLXロジスティカによるアスー港工業団地を見学。同社社主エイケ・バチスタ氏は、同日、同港での製鉄所建設に関する中国公社Wisconとの契約書に署名する予定だ。
15日にブラジリアで胡錦涛主席を迎え、技術部門や石油、文化関連の合意書に署名したルーラ大統領によれば、同契約は、中国にとり対伯最大、また、Wisconにとっても国外最大規模の投資となるという。
伯中間には、貿易や政治、動力・鉱業、農業、情報処理産業など、多岐にわたる実務者会談開催などを定めたCosbanと呼ばれる協定があるが、04年の締結以来、06年に実務者会談が開かれたのみ。
今回のBRICs会議を弾みに国際的な発言力の一段の強化を願う中国にとって、Cosbanの実行と付随した具体的な目標設定なども重要な検討項目となりそうだ。
なお、15日付G1サイトなどによれば、14日に中国を襲った地震のため、胡錦涛主席が15日夜離伯する事になり、BRICs会議とIBAS(印伯南ア)会議は前倒し開催となった。