ニッケイ新聞 2010年4月17日付け
韓国企業のヒュンダイ重工業が、1億5千万米ドルを投じ、ブラジルに建設機械工場を建設すると15日に発表した。16日付エスタード紙により報じられた。
同グループとしては、アジア以外で初の工場建設。掘削機、積み込み機、運搬機械など、年間5千台生産規模の工場で、約650人の直接雇用が期待できる。
15日、アメリカ・ヒュンダイ重工業のジョン・リン社長がサンパウロ市で、「まだ、工場建設地は決定していない。現在、サンパウロ、ミナス、リオ、エスピリトサント4州が建設地に名乗りを挙げている」と説明した。
同氏によれば、建設地決定の基準には州、市政府の提示する条件のほかに、消費者センターへのアクセス、部品を供給する地元企業へのアクセスの良さ、人材の質などが求められる。2度目の来伯となる同氏は、「環境ライセンスの取得の必要がない、工業団地への建設を考えている」と見解した。
2008年より進められていた同工場建設計画は、世界経済危機の影響からブラジル経済の回復を懸念し再検討されていたが、今回、経済活性化計画や道路建設業の増加といったインフラ整備の需要の高まりに合わせ、米国、ロシアで検討していた工場建設を一旦遅らせてのブラジル進出となった。
当初の計画では、2012年からの生産開始を見越していたが、予定を早めた来年7月からの運営開始を目指す。
最初は、1億米ドルをかけて年間3千万台生産規模の工場を建設する。その後、さらに5千米ドルを投資し、年産5千万台規模に拡大していく。
同グループの委託販売を担うブラジル企業によれば、韓国の同グループ製機械はここ2年で1980台が輸入された。昨年度は990台と減少したが、今年度は上半期ですでに700台を販売、年末までには2千台に到達すると見込まれる。
今後数年間に生産される建設機械の3分の1は、ベロ・モンテ水力発電所建設やサンパウロ~リオ間をつなぐ高速鉄道構想、北東部の高速道路計画の需要を補うと推定される。
また、ヒュンダイ自動車も6億米ドルを投じ、サンパウロ州ピラシカーバ市での工場建設を進めている。建設用地は同市から無料で提供され、工事開始は来年1月を予定。始動は2012年を目指し、年間15万台の生産が見込まれているという。