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BRICs・IBAs=強行軍の鳴り物入り首脳会議=労多くして功少なし?=1日で共同声明採択へ=国際機関の変革求める

ニッケイ新聞 2010年4月20日付け

 ブラジリアで15日に持たれたBRICsならびにIBAS首脳会議を終え、内外からは、鳴り物入りの割りに実が少なかったのではとの声も出ている。16日、17日付伯字紙やサイトでの報道によると、BRICs会議での共同声明採択、国際通貨基金などの国際機関の変革要求、現地通貨での交易決済についての継続審議などが、主たる実といえそうだ。

 中国の胡錦涛国家主席が14日発生の地震により離伯を早めた事で、予定を前倒しして開催されたBRICs、IBAS両首脳会議は、参加者にもかなりの負担を強いる会議となった様だ。
 15日午前中に胡錦涛主席を迎えた時から、各国首脳が次々に到着。BRICs首脳を出迎えた後、直ちにもたれたIBAS会議など、12時間以上を外務省で過ごしたルーラ大統領は、流石に疲労の色を隠せないままで記者会見となった。
 胡錦涛主席が早々に帰国となり、2日分の日程を1日で終らせて従来の輝きを失ったとのブラジルメディアの報道は、BRICsでの中国の比重の大きさを表すものともいえるが、このBRICs首脳会議の特徴は、具体的かつ実際的な決定が下される事との評価もあり、今回の会議でも、各国の「開発」銀行間での覚書も交わされている。
 今回の共同声明の中心は、基幹構造(インフラ)やエネルギーの有効利用、環境面からの持続可能な開発、農作物貿易、技術開発。その他、4カ国間の輸出発展及び金融機関同士の協力、国際通貨基金や世界銀行での新興国や途上国の発言権拡大などへの取組みも盛り込まれている。
 その一方、以前から話合われつつ、結論を先延ばししたのは、現地通貨での決済またはドルに変わる新たな備蓄通貨の設定で、今後も検討が続く事となった。
 また、国連安保理常任理事国入りを目指すブラジルにとり、今回の首脳会議で積極的支援を取り付けられなかった事や、イランの核開発問題での理解を得られなかった事は、実り少ない会議との評価の一因でもある。
 IBAS会議では、気候問題の研究用と地球観測用の2つの衛星を作ることで合意を見た他、農業への補助金支出問題で、新興国が歩調をそろえることを確認。アモリン外相からは、「自分自身はその場にいないだろうが、ドーハラウンドは締結に向け前進すべき」との発言まで出ている。
 メディアの注目度が低く、報道も不十分だと外相が苦言を呈した二つの首脳会議。その一方、メディアからは、リオ州北部アスー港の製鉄所建設やパラー~マラニョンでの石油開発など、伯中合意の華々しさに比べ、印象が薄く、内容に乏しいとの声が強い様だ。