ニッケイ新聞 2010年4月20日付け
核安保首脳会議なるものが幕を閉じオバマ大統領は「最大の勝利」と満面の笑み。我が鳩山首相殿も「核不拡散への整備が必要」との名(迷)演説で庶民の「賛成」を狙う。米露が弾頭ミサイルを1550に減らすの条約に署名したのは歓迎したい。だが―である。こうした国際的な取り決めは、核保有5ヵ国―取り分けアメリカの特権を認めることになるのではないか▼いやロシアも中国もいる。仏のシラク大統領(当時)みたいに南太平洋の島で核実験をし、武村正義さんなる大蔵大臣が紺碧の島だか華の都のパリへ旅立って「抗議」をした。けれども、仏の権力者は「フフン」と一笑。原爆や水爆は無い方がいい。しかし、核兵器の恐怖が世界の安全を保っているのも事実なのである▼もう30年も昔に「核兵器」は戦力としては使わない。これが―冷戦時代の米ソ暗黙の了解であったし、飽く迄も政治的武器であって―この基本的な構図は今もまったく同じであると見たい。つまるところ、核保有国は5大強国なのであり、これによって嫌ではあるけれども―世の平和と安寧は守られている▼従って核兵器のない国は弱い。駆逐艦を護衛艦とか呼び大佐を一等空佐などとする日本も防衛力の強さがなく弱い。オバマ大統領の首脳会議後の記者会見も参加者は米記者だけと狭い。リンカーンではないがこれでは「米の、米による、米のためのサミット」の落ちに終る▼その昔―。石原慎太郎都知事が、核拡散防止条約を「核保有国の論理」とし、原爆を保持しないところは脆弱な国家と痛烈に非難をしたが、この痛みは只今も変わらない。(遯)