ニッケイ新聞 2010年4月21日付け
地域によっては保険会社が支払う保険額全体の半分を占めるという自動車の盗難について、サンパウロ州政府が発表した2009年度サンパウロ市内自動車盗難発生マップでは、病院や地下鉄付近の通りで発生率が高いと示された。20日付エスタード紙が報じている。
同調査は、警察の犯罪情報システムに基づいて実施されたもの。特に、大きな病院が近くにあるヴィラ・マリアーナ区のロエフグリーン街(サンパウロ市南部)、パライーゾ区のマエストロ・カルジン街(セントロ)、ポンペイア区のバロン・ド・バナナル街(西部)で持ち逃げ事件の多さが目立つ。
サンパウロ病院が近くにあるロエフグリーン街は、90年代から警察側が危険性を警告してきたが、その犯罪率は変わらず、昨年度は126件の窃盗が報告された。ポルトガル慈善病院が近いマエストロ街、サンカミーロ病院が近いバロン街でも同様に被害が相次いでいる。
サンパウロ市内で昨年度最も多くの窃盗が記録されたのは、地下鉄のペーニャ~ヴィラ・マチルデ駅間に位置するアルヴィノポリス街で、134件だった。こういった盗難事件の多くは、火曜から木曜の午後6時から午前0時にかけて発生している。
また、古めの自動車に関しては持ち逃げされる窃盗事件のケースが多く、新しい自動車になるほど犯人が武装して脅すなど強迫絡みの盗難事件になる傾向があるという報告もある。
強盗事件は、盗難事件全体の45・3%を占める。サンパウロ市で強盗事件が最も多かったのは、175件の被害届けがあったサントアマーロ区のアルバレンガ街道。サンパウロ市南部では高級住宅街があるエンジェニェイロ・アルマンド・デ・アルーダ・ペレイラ大通り、セントロではペドロ・ポンポナッジ街での被害が多かった。
そのうちの40%は、被害者の自宅から500メートル範囲内の場所で起こっているという統計もでている。
サンパウロ市では20年前より増加が懸念される自動車の盗難だが、今年警察側はその防止を優先課題として挙げた。ペドロ・ポンポナッジ街がある第6直轄区では今年に入り特別体制を敷き、強盗事件は今年3カ月で前年比の70%の減少をみせる。
サンパウロ市東部、西部でも自動車盗難に対する特別警戒体制を整え、窃盗事件ではタトゥアペ区で51・8%、強盗事件ではジャルジンス区で21%、ラパ区6%、ピニェイロス区17%、イタイン・ビビ区42%、ペルジーゼス区11%でそれぞれ減少傾向がみられた。
同時に、自動車所有者にはGPSの取り付けや自動車部品への製造番号の記載が被害の60%を軽減できる、と注意が促されている。