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人文研=奨学生、4人が順調に=本山理事長「将来を支える制度に」

ニッケイ新聞 2010年4月24日付け

 研究員の不在が長年の懸念となっているサンパウロ人文科学研究所が、昨年11月から始めた奨学制度が今月で半年を迎えた。
 最低給与分の寄付を個人や企業に仰ぎ、サンヨー牧場、宮坂基金、続木善夫(二人分)、高岡マルセロ、サンタンデール銀行が賛同、実現にこぎつけた。
 現在の奨学生とそのテーマは、「イグアッペ周辺における日系農業技術」(小林ブルーナ、UNESP農学部)、「日伯関係における人種偏見について」(山田エドゥアルド、USP歴史科)、「日本の移民政策についての一考察」(吉田満、同)、「ブラジル移民政策にみる日本の近代化」(柴田夏美、同)の4人。
 1カ月に1度、指導教官の本山理事長(USP歴史科教授)と菊地保夫副理事長(社会学専攻)が面談を行っている。
 吉田さん(30、三世)は、「国策としての移民政策を政治的視野から見たい。明治維新と移民の関係にも関心がある」と話す。
 山田さん(24、三世)は、「19世紀にあった人種改良(Branqueamento)が日本移民にどう影響したか調べたい。移民初期の人種偏見について書かれた文献がないので、その間を埋めたい」と意気込む。
 小林さん(22、三世)は、大学のキャンパスの関係でレジストロに5年間住む。「コロノで入植した他移住地とは違う。テーマの農業より、今は移民の歴史を調査中」だという。
 本山省三理事長は、「歴史ある研究機関である人文研はこの20年間、研究員育成の動きがなかった」としながらも「彼らに期待するとともに、将来も見据え、同制度を続けていきたい」と話した。
 鈴木正威所長によれば、本年度も最低2人の奨学生の募集を行う予定。同制度に賛同する個人・企業の支援を受け付けている。
 詳しくは人文研(11・3277・8616)まで。